義祖母のお葬式のため義実家へ
結婚してからまもなくして義祖母が亡くなったのですが、お葬式に参加したとき、まず驚かされたのが人数の多さです。斎場の大ホールの半分を埋め尽くすほどの親戚の多さで、私はただただ圧倒されるばかり。
それだけでなく、葬儀が終わったあとの食事会の光景にもびっくりでした。大広間に一同がズラーッと横並びで食事をしていて、思わず学校の修学旅行を思い出したほどです。
そして、葬儀自体はつつがなく終了。しかしその後、着慣れない喪服の着物を着た(習わしで親族の女性は着物)私がひと休みしていたところ、近くから耳を疑うような会話が聞こえてきたのです。
満腹のはずが…実家で大宴会!?
親戚の誰かが「じゃあこれから本家(夫の実家)に集まって宴会だ~!」と言い出したのです。葬儀のときから、何がなんだかわからないまま周囲に合わせて行動していた私は、「え? これから集まってまた飲むの?」「まさか全員がくるわけじゃないよね?」といった疑問でいっぱいです。
その後、親族の人たちは自然な流れで夫の実家に集まり、さらには葬儀に参列しなかった子どもたちまで連れてきて、自宅で採れた野菜などを持ち寄り、大宴会となりました。台所を切り盛りしているおばさまたちによって、天ぷらやきんぴらなどが次々に作られます。そのうち、親族の人数が多すぎて家庭用のコンロだけでは足りなくなり、おばさまたちが庭に大釜を設置してお湯を沸かし、大量のうどんを茹で始めました。
茹であがったうどんは、家の脇に流れる用水路(小川のようなもの)で洗われ、どんどん食卓へと運ばれていきます。葬儀のあとに食事をしたはずなのに、10kg近くのうどんが一瞬にしてみんなの胃袋に消えていきました。
この体験は、鮮烈なカルチャーショックでした。のちに夫から聞いた話では、大人数の親戚が全員集まる機会がなかなかないため、いつも葬儀のときは親睦会になってしまうとのこと。おばさま方の手際のよさや、夫の実家に大量の食器や座布団が置いてあった意味が、これでわかりました。
その後の私は、今まで経験したことのない世界に戸惑いつつも、義父母に教えてもらいながら、ご近所さんとの関係性や親戚付き合いなどの経験を積んでいます。夫と結婚しなければ体験できなかったなぁと思い、結婚当初の義祖母のお葬式は今でも強く記憶に残っています。
著者/匿名
作画/ちゃこ
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