出産予定日の夕方、おなかに鈍痛が!
その日は、出産予定日当日だったこともあり、朝から両親も落ち着かない様子でした。そんな中、夕方ころからおなかに鈍痛があったので「陣痛かも」と話すと、両親は「ごはん食べて」「病院に持って行く荷物はどこ?」など、ずっとそわそわしていました。
しかし、おなかの張りはなかなか強くならず、そのまま22時半に就寝したのですが、私は横になったものの、鈍痛があって眠れません。夜中の2時半過ぎ、まだ陣痛にしては弱いかなと思いつつも、時間を計ると10分間隔になっていたのです。
そこで、病院に電話すると「そろそろ来て」と指示がありました。
初産だからすぐには生まれないだろう
夫に連絡し、「(自分も)すぐに行ったほうが良いの?」と聞かれたので、「多分まだまだ生まれないと思うし、病院行ってからまた連絡するね」と伝え、両親に付き添ってもらい、車で病院に向かうことに。
私は日々、妊娠や出産の情報サイトを眺めていたので、初産ではそうそう早くは生まれないだろうと思っていました。
口コミサイトには、陣痛が痛過ぎるあまり物を投げたり、叫んだりしたという人もいましたが、そのときの私は「今は我慢できる範囲内で、静かに耐えられているから、きっとまだだ」と考えていたのです。
そのため、荷物もあらかじめ用意していたとはいえ、自分であれとこれを持って……と用意をすることができました。
いよいよ病院へ! すると父が驚きの発言
そして、痛みに苦しみながらも車に乗り込み病院へ向かったのですが、運転席にいる父が、なぜか涙を流していました。
そして、ミラー越しに、私に言ったのです。
「よく頑張ったね」。
父はすでに孫が生まれたような気持ちになり、感極まってしまった様子。
しかし、私も、母も、まだまだ出産はこれからと思っていました。経験者の母はもちろんですが、本能的に私も出産の痛みはこんなものではないと感じていたのです。
そして、私と母は、思わず父に「おい!」と声をそろえてツッコミを入れる事態となったのでした。
その後、わが子はのんびり屋さんで、なかなか生まれてこず、そのまま約2日半も陣痛に耐えることに。その間、父の本当の涙はおあずけとなりました。
あとから冷静になると、夕方からずっと苦しみ、夜も眠れずにいた私に何か言ってあげようとした父のやさしさだとわかったのですが、そのときは「急に何を言っているの?」と思ってしまいました。そして、同じタイミングでのツッコミに、母との親子の絆を改めて感じた出来事でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/ミロチ
著者:桜井ゆめ
2015年生まれの男の子と、2020年生まれの女の子の母です。職業は保育士。毎日ドタバタしながらお笑い息子&娘と笑顔いっぱいの毎日を送っています。