これまで平日の昼間は出社していたのであまり気にならなかったのですが、窓を開けて仕事をしていると、わが家の裏の家に住むミサトさんの声が丸聞こえ。友だちと話している内容は、すべて私に筒抜けです。
プライベートな話もあることでしょう。あの大声では私以外にも聞こえている人がいるはずです。もう少し声のボリュームを下げたほうがいいのではと思っていました。
ただの隣人が茶飲み友だちに…
そう思った数日後、たまたまミサトさんと顔を合わせることがあり、会話が丸聞こえであることを伝えました。ミサトさんは気づいていなかったようで、とても感謝されたのです。
それをきっかけに、ミサトさんにとっての私との距離が縮まったようで、頻繁にお裾分けをしてくれるようになりました。私も悪い気はせずありがたく受け取っていたのですが、ある日「お金貸して~♡」と言われてびっくり。
基本的にお金の貸し借りはしたくないし、そこまで親密だとは思っていません。私はキッパリ断りました。
お金を貸すのを断ったことで、少し距離ができるかなと思ったものの、ミサトさんは気にしていないよう。相変わらずの距離感で接してきます。
ミサトさんは人懐こく、私たちはだんだんと茶飲み友だちに。テレワークが続き、人との会話に飢えていた私にとっても好都合で、快くわが家に迎え入れていたのです。
隣人が悲鳴をあげたワケ
そんな毎日もそろそろ終わり。オフィスの改装が終わり、いよいよ引っ越しとともに、私のテレワークが終わる日がやってきました。
ミサトさんと気軽にお茶できる日々も終わりです。少し残念ですが、仕方がありません。
テレワーク最終日、私は会社から貸し出されていたwi-fi機器をオフィスに送り返すべく、梱包をすることにしました。
しかしwi-fiの電源を切った途端、近所から悲鳴が聞こえてきたのです。
私のせい??
声の主はミサトさん。悲鳴が聞こえたすぐ後に、ひどい剣幕でわが家を訪ねてきました。「あんたのせいで大損した!! 返して!」と意味のわからないことを、大声で叫んでいます。
話を聞くと、どうやらミサトさんはわが家に来たとき、私の目を盗んでwi-fiのパスワードをメモしたようで、勝手に回線を使い株取引をしていたのです。
しかし私が電源を切ったことで、ネットワークが切断。当然取引も途中で終わってしまいました。
半ば呆れながらも、ルーターは会社からの借り物で、テレワークを終えたら返却しなくてはいけない約束なのだと説明しても聞く耳持たず、ミサトさんは「お金を貸してくれなかったのだから、wi-fiくらい使わせろ!」と暴言ばかり。
今まさに取引が成立するところだったのに、損害が出たら私と会社にも賠償請求すると言い出し、収拾がつきません。
株にハマったママ友の末路
困っていると、タイミングよくご主人が帰宅。一部始終を聞き、ミサトさんをおさえてくれました。
聞くところによると、ミサトさんは株に手を出してから家事も育児も放棄していて、ずっと部屋にこもってスマホとにらめっこする生活を送っていたそう。ご主人も困っていたと話します。
これを機に、ミサトさんは株取引に使っていたパソコンなどを没収されたよう。wi-fi泥棒に関しては、夫婦で丁重に謝罪してくれたので、これ以上不問としました。
Wi-Fiを勝手に使用されると、通信速度が低下したり個人情報が流出したりする恐れがあります。パスワードなどの管理は重々気をつけたいですね。