「ちょっと!結婚したのを黙ってるなんて水くさいじゃない!」「結婚式にも招待してくれないなんて!」と友人。向こうはまだ親しい間柄だと思っているようですが、私はこの友人とあえて距離を置いていたのです。この友人は、大学時代に私の彼氏を奪った前科があるので……。
略奪前科のある友人
「もしかして、大学時代のことまだ怒ってるの?」「簡単に彼氏を奪われるような薄っぺらい関係だったあんたも悪いんだし、若気の至りってことで許してよ~」と友人。この友人のせいで、私の楽しかった大学生活は一瞬でめちゃくちゃになったのに……。
「ところで、旦那さん大企業にお勤めなんですって?」となぜか私の夫の職場まで知っている友人。「結婚生活、そろそろ大変なんじゃない?やっぱり格差婚はきついよね~」と言われて、私の頭の中はハテナでいっぱいに。
「高収入高学歴のエリート夫には、やっぱり私みたいな美女の妻がお似合いだと思うんだよね!」「だからあんたなんかが妻だと、旦那さんは不満だろうと思って!」「もしよかったら私がお相手してあげるのに!」
イラついてきた私は、「ねぇ、何が言いたいの?」と言ってしまいました。すると、「旦那さん、私にちょーだい!」と友人。
しばらくあ然としてしまった私。コイツ、懲りてない……!
「ふざけないで」とだけ送信して、すぐに夫へ連絡。今までの経緯と、友人が夫をロックオンしていることを伝えました。
夫も、肩書きだけで寄ってくる女性にうんざりしていたようで、「わかった、気を付ける」と二つ返事でうなずいてくれました。
新婚旅行中なのですが……
それから1カ月後――。
「やっほ~~~!そろそろ離婚届の用意もできたかしら?」と友人からメッセージが。ハワイで楽しく新婚旅行中だというのに……。
「新婚旅行中だから邪魔しないでくれる?」と返すと、「楽しい時間だと思ってるのはあんただけかもよ?」「だって、私がメッセージを送ったらあんたの旦那さんすぐに返信返してくれるもの!」と友人。
「あんたの旦那さんは、もう私にメロメロなの♡」
「新婚旅行から帰ったらすぐに離婚届を用意してね」
「いや、君だれ?」
「え?」
さっきまでにこにこしていた私の顔が曇ったのに気づいた夫。夫に友人とのやり取りの画面を見せると、夫は怒りで真っ赤になり、私に代わって友人とのやり取りを始めたのです。
「君に覚えはないから『初めまして』で合ってるよね」「僕は一度も君と連絡を取ったことはないんだけどな」と夫。友人は「妻の前だからって無理しなくてもいいのよ!」と引き下がりません。
「そもそも僕のスマホには妻と両親、義両親しか登録していないし」「僕、ずっと勉強一筋で生きてきたから友だちもいないし、メッセージアプリは妻とだけの連絡ツールとして使ってるんだ」「僕は妻一筋だからね」
それを見た友人は「しらばっくれないでよ!」「いつも私にメッセージ送ってくれてたじゃない!」「四六時中私に愛の言葉を送ってくれていたじゃない!」と激昂。
そこで、夫はぽつりと「おかしいな……」とつぶやいたのです。「僕、仕事に集中するために、出社したらプライベートスマホは鍵のかかる引き出しに閉まってるんだよね」「勤務中は社用スマホしか持ってないんだけど……」と夫。
そして、夫は何かに思い当った様子。「もしかして……!」と言って、会社の人に連絡を取り始めたのです。
若気の至り
その後――。
夫は会社の部長です。部下の社用スマホを修理に出すことになり、しばらく自分の社用スマホを貸し出していたとのこと。その部下が夫になりすまして私の友人とやり取りをしていたのです。
社用スマホのプライベート使用は、夫の会社では厳罰対象。さらに夫の名前を騙ったとして、部下の人はこってり絞られて左遷されてしまったそうです。
友人は事実を知ってもなお、私には「夫をよこせ」と言い続けてきました。夫の勧めもあり、私は電話番号やメールアドレスを含め、すべての連絡先を変更することに。もちろん一番最初に友人の連絡先をブロックしました。
ハワイでの新婚旅行も楽しかったのですが、夫は途中で仕事モードになってしまったことをちょっぴり残念に思っているようでした。そこで、近いうちに国内の温泉地へ旅行に行くことに。お互いこれという趣味もなく、友人も少ないので、しばらくは2人であちこち出かけてみようと思っています。