セレブ自慢のワガママ後輩
父親が部長のこの後輩は、高級住宅街の一等地に住むお嬢様。真面目に仕事をすることもなく、デスクで平然とメイク直しや爪のお手入れをし、延々と「ウチはお金持ちで~」とセレブ自慢ばかり。A子先輩がさり気なく注意しても「パパに言いつけるよ?」とワガママ放題で、社員はみんな手を焼いていました。
ただ、そんな彼女も社長を前にすると猫かぶり。うちの社長は34歳のイケメンで独身のため、「社長と結婚するのは私!」といつも息まいているのです。
そんなある日、A子先輩が結婚することになり、部署全員を結婚式に招待してくれました! みんな、お世話になっている先輩のお祝いとあって楽しみにしていました。ただ私は、ワガママ後輩まで出席することに一抹の不安を抱いていたのですが……。
不安が的中!
いよいよA子先輩の結婚式。一流ホテルの会場で、華やかな披露宴が始まりました。
私も今まで知らなかったのですが、A子先輩は早くにご両親を亡くし、お姉さんと2人で支え合って暮らしてきたとのこと。新郎も苦労人で、中学卒業後にいろいろな仕事を掛け持ちし、家計を支えていた過去があったと司会者が話しているのを聞いて、みんなが感動しているとき……。
例の後輩が「えぇ~。豪華ホテルでの結婚式だから、ハイスペックな相手だろうと思って見にきたのに、超低レベルじゃん。先輩も人生お先真っ暗~」と、甲高い声でありえない発言をしたのです!
「何てことを!」
私は慌てて彼女の口をふさぎました。父親である部長も娘の暴言に真っ青。全員の視線がこちらに向いています。
いつもニコニコしているA子先輩も、さすがに下を向いて泣きそうな顔をしていました。
私の手を振りほどいて、後輩はさらに高笑い。
「私なら、絶対あんな低スペック男と結婚しなーいっ! 社長みたいなイケメン・ハイレベル男性をゲットするんだぁ~!」
親族席を見ると、A子先輩のお姉さんもプルプルと震えています。新郎と新郎のご家族、他の出席者もドン引き。部長はおろおろして娘を制止することすらできない様子です。隣に座っていた私はいたたまれず、後輩を連れて会場を出ようとしました。
社長がマイクを受け取り…
(もう我慢の限界! ここから連れ出してやる!)
そう思った瞬間、私たちの前にある人がスッと立ちはだかりました。それはなんとわが社の社長。彼は司会者からマイクを受け取り、こう切り出しました。
「みなさん、突然すみません。私は新婦の勤め先である会社の代表を務めております。先日決めたばかりなのですが、この場を借りてご報告があります。来月私は、こちらにいる新婦のお姉さんと結婚させていただく運びとなりました」
「「「ええええええええええーーーー?」」」
招待客たちはいっせいにザワザワ。もちろん、誰よりも驚いていたのは社長を狙っていたこの後輩。文字通り目を白黒させています。
「ウ、ウソでしょ? あんな低スペック家族に社長が入る意味なんてないのに!」
後輩が歯ぎしりをしながらそう言った瞬間、社長は彼女をじっと見据えてこう言いました。
「肩書きや収入、スペックなど関係なくやさしくできる、彼女たち姉妹の素晴らしい生き方に私は感動したのです。彼女たちは何より心がキレイだ。だから見た目も仕草も美しい。君は、2人から学ぶ必要があるね」
泣き叫ぶ後輩
「な、何ですって……!?」
みんなの前でこう宣言された後輩は、血管が浮くほど真っ赤な顔に。しかし周囲はそろって社長の言葉にうなずいています。ここでようやく部長が、娘を無理やり立ち上がらせました。
味方は誰もいないと悟った彼女。「うわあああっ!」と泣き叫びながら、父親に引きずられて退場していったのでした。
その後、あの後輩は一度も出社することなく、いつの間にか籍がなくなっていました。部長も、娘の件でほうぼうに平謝りした後、自ら退職願を出したとのことです。
こうして私たちの職場には平穏な日々が。A子先輩も、幸せな新婚生活を満喫しているようでうれしい限りです。先輩のお姉さんと社長の結婚式にも、部署のメンバー全員が招待されています!
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