先日のこと。夫が「近ごろ、働いている意味を見いだせない」とぼやいてきました。たしかに生活費のほとんどは私の稼ぎで、夫が結婚前に作った借金も私が返しました。
私も夫も平日は帰りが遅く、娘の保育園は時間を延長しています。夫が専業主夫になったら、娘のためにもなるような気はします。しかし……、夫は娘をかわいがってはいますが、これまで面倒なことはすべて私に押し付けてきました。
夫の育児に不安があったので、1カ月間の試用期間を設けることに。仕事をしながらなので完璧を求めることはできませんが、どのくらい家事育児をしてくれるのか、確かめたかったのです。
突然の連絡に驚きつつも…
ある日突然、私のもとに知らない女性から連絡が入りました。
「あなたの旦那さんいただきました」
「妊娠したので別れてください」
相手の女性は、“経営者の旦那さん”というワードを連呼。
「は? 旦那さんって誰のことですか?」
何だか話が見えません。しかし、夫は不倫しているようです。妊娠6カ月だというその女性は、私たち夫婦の離婚を望んでおり……。子なしだからすぐ別れられるだろうとまで言ってきました。
私は気持ちの整理のために時間がほしいと伝え、夫にこのことを黙っておいてもらえるなら翌月には必ず離婚すると約束したのです。
本当に困った人
翌月、私は夫に離婚を切り出しました。けれど、不倫相手からは怒りの連絡が……。夫は、不倫相手に対して別れたいと言っているようなのです。夫は今の生活を続けたいがために、私とは離婚できないでいるのでした。
そこで私は、本当のことを告げたのです。夫は経営者ではなく、専業主夫だということを。このころ夫は会社を辞め、主夫になっていたのでした。
真実を知った不倫相手は妊娠を後悔したようです。お金持ちだと思ったので離婚前に急いで子どもをもうけたようですが、その考えがまず大きな間違いでした。ちなみにこのとき、私たちの間に娘がいることをお知らせしておきました。夫の数々のうそに、あ然としたようです。
これから養育費の支払いが17年も続くと知り、不倫相手はさらにがく然としていました。夫は別れるつもりはないとダダをこね、いつまでも私にすがりつこうとしましたが、私は拒否。やっと安定した生活が送れるようになったと思ったら、夫に裏切られ……。これ以上一緒になんていられるはずがありません。
主夫になりたかった理由とは?
夫はこの1カ月間、仕事と家事育児を頑張ってきました。その頑張りには感心しましたが、どうも動機が不純です。私が仕事の時間を利用して、こちらと向こうの家庭を行き来できると考えていたのではないでしょうか。
主夫になって私の力になりたかったと夫は言っていましたが、そういう気持ちがあったのならもっと早くから家事育児を一生懸命していたと思うのです。私に負けないよう出世しようとしていたため、家庭を省みる時間がなかったとも言いましたが、不倫に使う時間はあったわけです。結局のところ、夫は私を都合のいい存在としか思っていなかったとわかりました。
その後、離婚が成立して私は娘と一緒に暮らしています。不倫相手は元夫と結婚せず、シングルマザーの道を選んだようです。
そして元夫は親戚の会社で働きながら、2人の子どもに養育費を支払っています。たまに弁護士経由で「やり直したい」という手紙が届きますが……。見なかったことにしています。
◇ ◇ ◇
専業主夫になると決めてからではなく、その前から家族のために行動していればまた違った未来があったかもしれません。身勝手な行動で家族を振り回すのはやめてほしいですね。