いきなり入院、いきなり出産
「今から入院してください。帝王切開は4日後におこないます」。おなかの張りを感じていたため嫌な予感はしていたのですが、健診を終えて医師に言われたひと言に私は衝撃を受けました。
動揺しながら「入院セットを取りに行ってもいいですか?」と聞いたところ、「いいですよ。病院食が間に合わないので昼食は自分で用意してください」と言われ、私は混乱したままタクシーで自宅へ向かいました。
昼食を調達しようと途中でコンビニに寄って店内を探すと、私の目にたくさんの菓子パンが飛び込んできました。学生のとき、定期テスト後のごほうびとして食べていたのですが、妊娠してからは砂糖がたくさん入っているからと食べるのを我慢していました。
「こんなに甘い物はもうしばらく食べられないかもしれない」。私は急にそう思い立ち、メロンパンやクリームパンなど甘いパンを大量に買い込み、すぐに再度タクシーで病院に向かいました。
まさかの分娩台で昼食!?
病院へ着くと、病室がまだ空かないため一時的な待ち合いとして分娩室へ案内されました。そのまま分娩台へ座るように促され、なんとここで昼食を食べるように言われたため、私は分娩台の上で先ほど買い込んだ菓子パンを食べました。
頭はずっと真っ白で、食欲はなかったはずなのに、不思議と食は進みました。甘ったるいパンを次々と手に取り食べていると、なぜか今まで一滴もこぼれなかった涙が溢れ、私はしばらく食べながら泣いてしまいました。きっと出産に対する不安や双子を心配する気持ちなど、いろいろな感情があふれ出したのだと思います。
その後もいろいろなことがありましたが、私は何とか無事に双子を出産することができ、その双子も来年小学生になります。双子を出産した当時の思い出はいくつもありますが、分娩台の上で泣きながら菓子パンを食べた不思議な思い出は、今でも忘れません。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:木下うめ子/30代女性/2018年生まれの双子ママ。自閉症の双子のサポートに日々奮闘中。管理栄養士の資格を持っており、食べることが大好き。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年12月)