10年以上も苦楽をともにした私たちには、強い絆があると信じています。これからも仲良くいたいと願い、夫の大好きなメニューを作って食卓に並べていたある日のこと。夫がとんでもないことを言い出したのです。
夫の告白
神妙な顔をして帰宅した夫は、大好物に手もつけず、大事な話があると言います。何か深刻な話かもしれないと思った私は、向かいの席に座りました。
夫が私に打ち明けたのは「真実の愛に目覚めた」という告白。早い話が、私以外の女性と関係を持っていたということです。私は別れを切り出されてしまいました。
最近多かった残業も出張も、すべてウソ。相思相愛だと思っていた夫に簡単に裏切られるなんて、思ってもみないことでした。
なんで? いつから? と話をしたい私に対し、心ここにあらずの夫……。そんな様子を見て、私の気持ちはあっという間に冷めていきました。幸い子どももいないので、別れるなら早いほうがいいと思い、私は離婚を承諾しました。
とんでもない人もいるものだ…
翌日、母に離婚の話を告げるために近所のカフェで待ち合わせをしました。母を落胆させてしまうかもしれないと思っていましたが、思いの外母は落ち着いていて、私を慰めてくれました。
ホッとしながらコーヒーを飲んでいると、子どもそっちのけで、大きな声で電話をしている女性が目につきました。聞こうとしなくても耳に入る、その女性の会話は、今日子守を引き受けてもらえなかった親への恨み節から始まり、お金を注ぎ込ませている彼の話まで、聞いていて気分の良いものではありませんでした。
その上、女性が連れていた子どもににっこり笑って話しかけた母を睨みつけ、「イヤミですか?」と言う始末。母にもちろんそんなつもりはありません。
あまりに気分が悪いので、私たちはお店を出ることにしました。
長年連れ添った妻と運命の相手、どちらを信じる?
別の日、私が家を出る準備をしていると、突然夫が帰宅しました。「運命の人を紹介する」と頼んでもいないことを言い出します。
渋々顔を出すと、先日カフェで出会ったトンデモ女! あの時話していた「お金を注ぎ込ませている彼」は夫に違いありません。
先日の話を夫に伝えるか迷った私。正直地獄に落ちてほしいと思いつつも、長年一緒にいた情もあります。私は、先日のカフェでの出来事を包み隠さず夫に話すことにしました。
しかし夫は「彼女がそんな人なわけがない」と完全否定。長年連れ添った私よりも彼女を信じるのかと思うとガッカリしましたが、これで心置きなく離婚できます。翌日、離婚届を出し、私たちはお別れしました。
真実の愛を求めた末…
数カ月後、元夫は2度目の離婚をしたと共通の友人から聞かされました。どうやら運命の相手の彼女は、子どもがいることを隠していたよう。元夫と再婚してからは、子どものお世話係を見つけたと言わんばかりに子育てを元夫に押し付け、遊び歩いていたそうです。
宣言通り元夫のお金も湯水のように使ったようで、老後資金は底をついたのだとか……。もしかすると私のところに連絡が来るかもしれない、と教えてくれました。
よくそれで「運命の人」と言ったものだと呆れてしまいます。人生100年時代と言われる昨今、元夫を振り返ることなく、新たな人生を歩もうと決めているので、電話番号を変えて、元夫は着信拒否。共通の友人にも、私の番号を教えないよう伝えるつもりです。
恋愛感情が盛り上がると、簡単に「運命の人」だと思ってしまうこともあるようです。そもそも不倫は感心されたことではありませんが、一時の感情の高まりに惑わされないようにしたいですね。