それからというもの、夫は元妻と堂々と会うようになりました。それは娘が20歳になった今も、ずっと続いています。
結婚式には来るな!
そんななか、娘の結婚が決まりました。
両家の顔合わせは、娘の希望により私は欠席。偽物の母親を相手の家族に会わせても意味がないと言われ、結婚式の準備は私抜きで進められました。
そしてついに式当日。新婦控室に入ると、娘が驚いたように私を見ました。なぜいるのかと問われ、キョトンとする私。どうやら実母を招待したようで、私に帰れと言うのです。
助けを求めて夫を見ましたが、夫まで「元妻が来るのだから早く帰れ」と追い払うような仕草を見せました。今の妻は私だからと食い下がると、夫はため息をついて、衝撃の告白をしたのです。
夫曰く、私と再婚したのは娘のお世話をする人が必要だったから。結婚して家を出る以上、私はお役御免なのだそう。さらに元妻への思いがよみがえり、娘の結婚を機に私と離婚し、元妻とヨリを戻そうと思っていると聞かされました。
娘もその計画に賛同しているようで、夫の話に拍手をし始めるほど。あまりの結末に驚きすぎて、私は座り込んでしまいました。
倍返しだ!
ここに来てこんな仕打ち、笑って受け入れられるわけがありません。私は、夫と娘に「本当に帰っていいのか?」と最後の確認をしました。
当たり前だと笑って答える2人を見て、私の心は決まりました。10年分の我慢を込めて、仕返しをしなければ気が済みません。
私は招待客が集まる待合室の椅子に座り、本気の嘘泣きを始めました。
シクシク泣いている私はかなり異質だったことでしょう。何事かと思った招待客は、私のそばにやってきて「どうかされましたか?」と声をかけてくれます。
それは私にとって大きなチャンス! 今日あったことを洗いざらいぶちまけてやりました。それを耳にして、まずざわつき始めたのが、私のことを知っている娘側の招待客。
「あんなにやさしいママなのに信じらんない〜」「前から薄々思ってたけど、あの子、ママに対する態度酷いよね」と口々に言いました。
不穏な空気は広がり、新郎側の招待客もすすり泣く私を気の毒そうに見つめます。みんながヒソヒソ話す中、意外な人物から話しかけられたのです。
意外な援護射撃
「それ本当ですか?」と私に声をかけたのは、夫の元妻である娘の実母でした。元妻は、夫と私がすでに離婚していると聞かされていたよう。また、私が娘に一切お小遣いをあげないと聞いていたようで、会うたびにお金を渡していたそうです。
よくよく話をすると、諸悪の根源は夫でした。夫は性格の不一致で元妻に離婚を言い渡されたよう。元妻に嫌がらせをしようと思って娘の親権を無理やり取ったのだとか。しかし子育てができず、私との再婚を決めました。
しかし元妻に執着していた夫は、私を悪者に仕立てることで元妻の同情を買い、長らく繋ぎ止めていたのでした。
事実を知った元妻は激怒。元夫との再婚なんて絶対にしないと宣言し、夫と一緒になって嘘をついていた娘に説教を始めました。
結婚式の無惨な結末
娘の本性にびっくりしたのは新郎も同じ。育ててもらった親を大切にできない人とは結婚できないと、結婚式の取り止めを申し出ました。
それを聞いた娘は、私の嘘泣きとは比較にならないほど号泣。実母に見限られ、結婚が白紙になり、絶望した顔をしていました。一時はわが子だと思って育てていた大切な娘でしたが、本性を知ったら情も消え去ったのでした。
すんなり仕返しが叶ってスッキリ! これからは失った10年を取り戻すためにも、仕事や趣味を楽しもうと思っています。
恩を仇で返すとはまさにこのこと。しかし更なる特大ブーメランが返ってきましたね。これからは自分の人生を歩んでほしいと願います。