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夫が亡くなったらいくらもらえる?一銭ももらえない場合も…知っておきたい「遺族年金」の基本【専門家解説】

老後の支えの1つが、夫が亡くなったときに遺族に支給される遺族年金。いくらもらえるのかは条件によって異なります。もしかしたらもらえないことも……!? 遺族年金の基礎知識をファイナンシャルプランナーの大久保美伽先生に聞きました。

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ファイナンシャルプランナー大久保美伽

元銀行員、大手外資系金融機関勤務歴15年。退職後、2021年マネレボ株式会社設立。真に中立な立場で資産運用と保険、家計の見直しをおこない、お金と時間から自由になり自分らしく生きる女性を増やすべくファイナンシャルプランナーとして独立。多くのお客様の資産運用やライフプランニングの悩みを解決すべく尽力している。老後に3000万円差がつく投資講座主宰。
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そもそも遺族年金とは?

夫が亡くなったらいくらもらえる?一銭ももらえない場合も…知っておきたい「遺族年金」の基本【専門家解説】

 

年金の加入者の収入により、生計を維持していた遺族が受けられるのが「遺族年金」です。一家の大黒柱が亡くなったとき、家族の生活を援助するための仕組みと考えるとわかりやすいかもしれません。

 

遺族年金の種類は?

遺族年金には自営業の人が加入している国民年金の遺族給付「遺族基礎年金」と、会社員・公務員の人が加入している厚生年金の遺族給付「遺族厚生年金」があります。

 

この記事ではわかりやすく、家族の収入を担っていた夫が亡くなり、妻が生存しているケースで説明しています。

 

夫が亡くなったらいくらもらえる?一銭ももらえない場合も…知っておきたい「遺族年金」の基本【専門家解説】

 

1:遺族基礎年金(国民年金の遺族給付)

子のある配偶者に支給されます。ただし、子とは18歳の年度末まで(障害のある子は20歳になるまで)を指します。つまり子どもが対象の時期を越えたら支給されません。このほか、条件によって支給される寡婦年金(※)もしくは死亡一時金があります。

 

※遺族基礎年金は男女関係なく子がいれば受給できますが、寡婦年金は女性のみが受給対象で子の有無は関係ありません。

 

2:遺族厚生年金(厚生年金の遺族給付)

厚生年金に加入していた夫の配偶者がもらえます。子のある配偶者には遺族基礎年金も併せて支給されます。この他、夫が亡くなったときに妻が40歳以上65歳未満で、生計が同じ子(18歳の年度末まで※障害のある子は20歳まで)がいないなどの条件によって支給される中高齢寡婦加算があります。

 

 

夫が亡くなったら遺族年金でいくらもらえる?

夫が亡くなったらいくらもらえる?一銭ももらえない場合も…知っておきたい「遺族年金」の基本【専門家解説】

 

前章でご紹介した通り、遺族年金がもらえるのは、

 

・子(18歳の年度末まで※障害のある子は20歳になるまで)のいる配偶者
・厚生年金に加入していた会社員・公務員の配偶者

 

です。上記の支給額についてご説明します。

 

子のいる配偶者が「遺族基礎年金」でもらえる金額

支給額は毎年変わりますが、子1人の場合は、基本額約79万円+子の分の加算額23万円で年間100万円強が目安です。

 

会社員・公務員の配偶者が「遺族厚生年金」でもらえる金額

妻が厚生年金に加入していない場合、おおよそ夫がもらっていた厚生年金の3/4の額が「遺族厚生年金」として支給されます。厚生年金の支給額は加入期間、加入していた時期、収入によって異なります。詳しい年金額は日本年金機構から毎年届く「ねんきん定期便」に記されているので、試算してみましょう。

 

なお現在、年金の平均支給額は夫が厚生年金に加入していて妻が国民年金の場合、2人で約23万円です。これを例にして計算してみると、夫の年金支給額は厚生年金の約9万円、国民年金の約7万円となるので、遺族厚生年金は6.75万円(9万円×0.75)もらえることになります。

 

妻自身の国民年金(約7万円)と合わせると、夫が死亡した場合、遺族厚生年金と合わせて14万円弱が支給される計算です。

 

遺族年金がもらえないのはどんな人?

夫が亡くなったらいくらもらえる?一銭ももらえない場合も…知っておきたい「遺族年金」の基本【専門家解説】

 

遺族年金が支給されない主なケースをご紹介します。

 

ケース1:子どもがいない自営業者の妻

遺族基礎年金は子どものいる配偶者に支給されます。子どもがいない、もしくは子が18歳年度末(障害のある子は20歳)を過ぎると、支給されません。

 

ケース2:夫の国民年金の加入期間が2/3未満

国民年金の場合は自分で納付しないといけないため、中には納めていない人がいます。加入している期間が全被保険期間の2/3に満たない(=1/3以上が未納)の場合は、年金を受給できません。

 

こうなっては遅いので、間に合うようであれば年金が支払えない期間は未納のままにするのではなく、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口にて納付の免除申請をおこないましょう(※条件あり)。免除制度を利用できれば、免除期間中は未納とならず、受給資格に影響しません。

 

ケース3:遺族厚生年金よりも妻の厚生年金のほうが高い

妻が会社員・公務員で厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金と自身の厚生年金を同時に満額もらうことはできません。遺族年金は妻の厚生年金の額により調整支給されますが、妻の厚生年金のほうが遺族厚生年金より高額な場合は、遺族厚生年金の支給はなくなります。

 

ケース4:妻が夫を扶養している

遺族年金は生計者を失った家族を援助するための制度なので、妻が夫を扶養している場合は、夫が亡くなっても支給されないので注意が必要です。

 

 

まとめ

夫が会社員・公務員の場合は遺族厚生年金がもらえますが、それも決して十分というわけではありません。少子高齢化が進む日本では今後は現在より年金の受取額は今より少なくなる可能性が高いと言えます。新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度)などの非課税制度を活用するなどして、先を見据えた自助努力が大切になってきます。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように!

 

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    著者プロファイル

    原作者中澤夕美恵

    出版社、編集プロダクションを経てフリーになって約20年。2021年よりスポーツジム通いに目覚め、せっせと運動に励むものの1年で1kgしか減量しておらず、ズッコケる。いつか痩せると信じて今日もジムへ……。

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