出産は他人事
さすがに臨月ともなれば、飲みに行くのは控えてくれると思っていたのですが、今日も夫はヨウコさんと飲みに行く気満々。
私が呆れた顔をしていると「お前は酒が飲めないからつまらない。出かけたがらないし……」と言います。そんなの当たり前で、妊娠中にお酒を飲むわけがないし、いつ産まれるかわからない今の状況で出かける気も起きません。
幸い夫が飲みに出かけた日は何事もなく過ぎましたが、出産予定日の数日前、ついに陣痛が来ました。その日夫は仕事が休みで、家にいてほしいとお願いしたはずなのに、私が昼寝をしている隙に出かけた模様。電話をかけてもつながりません。
陣痛の間隔はだんだん短くなり、我慢の限界を迎えた私は実母の助けを借りて病院に行くことにしたのです。
出産当日、幼馴染と旅行!?
病院に向かう道中、やっと夫と電話がつながりました。夫は「そんなに痛いの?」と呑気な態度。すぐに病院に来るように言うと「そんな急には無理だよ!」とまるで他人事。
そう話している向こうから「また奥さんごちゃごちゃ言ってるの?」と、聞き覚えのある声が聞こえてきました。「ヨウコさん……?」私がそう言うと、夫は悪びれる様子もなく「そ! 今一緒に旅行中。だから病院には行けないや」と笑っています。
妻がこれから命懸けで出産に挑むというときに、別の女と旅行なんて意味がわかりません。寝ている私に声をかけてから出かけたと言いますが、それで旅行に出かけてもいいと判断できる思考回路を疑います。
「出産なんて俺がいなくても大丈夫だろ?」と言う夫に続き、「出産頑張ってね~」と煽るように大きな声を出すヨウコさん。私の返事を待たず、電話は切られてしまいました。
夫のドン引き発言
その後、私は無事女の子を出産。娘は思っていた以上にかわいく、夫がお見舞いに来ないことも、連絡さえよこさないこともまったく気にならず、それに気づいたのは退院の朝。これで、私の人生に夫が必要ないという気持ちを改めて確認できてしまいました。
タクシーで自宅に帰ると、ちょうど夫とヨウコさんがやってきました。
「あ、おなかぺったんこ~!」と開口一番に言ったのはヨウコさん。人の夫を連れまわしておいて、最初に言う言葉がそれ? と、イラッとしてしまったのですが、もっと私を怒らせたのはもちろん夫。
「なんの連絡もよこさないから、昏睡状態にでも陥ってるのかと思った〜」と、信じられない発言。絶対に許せません。
妻の作戦勝ち!
しかしここで取り乱すわけにはいきません。私はニコニコしながら「旅行どうだった?」と切り出します。すると夫とヨウコさんは楽しそうに数々の写真を見せてきました。
写真をスクロールするヨウコさんの手元を見ていると、合間に一緒にお風呂に入っている写真、1つのベッドに寝ている写真がチラ見え。私は2人の不倫を確信しました。
お気楽な2人を泳がせている隙に、AirDropで証拠写真の転送成功! これで慰謝料の請求ができるはず!
もう私の人生に夫は不要。もう少し泳がせて証拠を集め、私をさらに有利な立場にするか、いますぐ追い出すか……かわいい娘のお世話をしながらよく考えるつもりです。
命をかけて挑む妻に対し、あまりに誠意のない対応でしたね。出産時、男性にできることは少ないかもしれませんが、そばにいて、声をかけるだけでも違うもの。できる限り出産は夫婦で向き合いたいですね。