遠方の中学校に通う毎日
中学時代、私は自宅から遠く離れた学校へ、毎日1時間近くかけて通学していました。
学校は田舎にあり、最寄り駅の前にポツンと1軒のコンビニがあるのみ。そのコンビニに生理用品は売っていないため、自宅を出るときにナプキンを忘れてしまうと、学校に行くまでの途中駅で下車して薬局やコンビニでナプキンを買うか、学校の売店まで我慢しなければなりませんでした。
そのため、私はいつ生理がきてもいいように、通学バッグの中に常にナプキンを多めに入れていたのです。
ナプキンを買おうとしたけど…
しかし、ある生理の日、いつもより経血量が多く、私は手持ちのナプキンを学校ですべて使い切ってしまいました。
帰り道用に、仲のいい友だちからナプキンを1枚もらったのですが、うっかりしていた私は、そのナプキンを学校に置き忘れてしまい……。家に帰るまで、今使っているナプキンだけでは心もとなく、途中下車してコンビニでナプキンを買うことにしました。
数軒まわって、ようやくナプキンを売っているコンビニに辿り着き、「やっとナプキンを買える!」と安心したのも束の間、なんとここで、お金が足りないことに気づいたのです。
あきらめて帰ろうとすると…
「こうなったら、帰り道は経血が漏れないようにティッシュでしのぐしかない!」と心に決めて、レジをあとにしようとした私。するとそのとき、後ろからスッと手が伸びてきました。後ろに並んでいた男性が、自分のコーヒーをレジに置いて「一緒に会計して」と、お金を出してくれたのです!
思春期で人見知りだった私は、突然の男性の好意に戸惑い、うまく反応できないでいました。
そのまま、男性は何も言わず、自分のコーヒーだけを持って去ってしまいました。私はあとを追いかけて、小さな声で「ありがとうございます」と声をかけましたが、彼は振り返りもせず、行ってしまいました。
今でも、生理の日にナプキンのストックがなくなると、気が気ではなくなります。そんなとき、何も言わずにお金を出してくれた男性の無骨なやさしさに触れたことを、私はふと思い出します。あのとき、大きな声で言えなかった「ありがとう」の気持ちが、男性に届いていたらいいなと思います。
著者/大野 肉美
作画/おみき
監修/助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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