「疳の虫が住んでる!」
息子が1歳になるころから人見知りが始まりましたが、私たち夫婦は特に気にせず過ごしていました。1歳をすぎたある日、義実家に行ったところ息子は義両親の前でも大泣き。私にずっとしがみついて離れませんでした。それを見た義母は、急に夫の手にお金をにぎらせて「これで治してきなさい!」と言ってきたのです。
私も夫も何を治すのか全く分からず困惑をしていると「この子は疳(かん)の虫が住んでるわよ!」と大騒ぎ。疳の虫のことを知らない私たち夫婦はあ然。その場で「疳の虫」についてスマホで調べてみると、子どもの夜泣きやかんしゃくなど、緊張状態を表す言葉のようで、昔はその原因が体内にいる虫だと言われていたようです。
迷信だとわかり「人見知りしているだけだよ。慣れたらきっとおさまるから」と夫から義母に説明してもらいました。しかし納得のいかない様子の義母は、「お祓いが必要よ! 早く行ってきなさい!」と聞かず、夫も困り顔です……。仕方がないので私はいったん義母の気持ちに共感してみることに。「お義母さんの言うとおりかもしれませんね! でもお祓いをしてもらえる場所を知らないので、家に帰ってからよさそうなところがないかしっかり調べてみますね」と言ったところ、「絶対よ!」となんとか引き下がってくれました。しかし、義実家から帰るころには息子も義両親たちに笑顔を見せるようになったためか、義母は「疳の虫は私の気のせいかもしれないわ」と言うように。
その後も、息子が笑顔を見せてくれることが多くなり「疳の虫」のことは一切話さなくなった義母。今回の出来事で、一旦相手の意見を聞き入れて妥協案を提案することで、穏便に済むこともあると学ぶことができました。
作画/yoichigo
著者:羽川忍
1歳の息子を育てる30代のママ。料理が大好きで、パン教室に通っている。在宅で働きながら家族3人での生活を楽しんでいる。