「私、あなたの旦那様の元カノなんです」「あなたと彼が結婚する前に、10年ほどお付き合いしていました」と、夫の元カノを名乗る女性から突然電話が。
「いろいろあって別れることになっちゃったんですけど、私はずっと彼のことが忘れられなくて……」「そしたらこの間、偶然入った駅前の居酒屋で彼と再会して!これは運命だって思ったんです!」と言うその女性。
「何度かデートもしているし、もう復縁したようなものです」「だから、早く離婚してくださいね」と言われ、私はあ然。ショックでしばらく立ち尽くしていましたが、ちょうど帰って来た夫を問いただしてみることに――。
元カノの話を聞いて夫が青ざめた理由
「ねぇ、この間駅前の居酒屋に行ったの?」と夫に尋ねると、「行くわけないだろ……?」と夫は怪訝な顔。それもそのはず、夫はビール1杯でぐでんぐでんに酔っぱらってしまうほどお酒が弱いのです。会社の飲み会にもあまり積極的には参加しません。
私は夫に元カノを名乗る女性から電話があったことを話しました。すると、夫の顔色がすっと青ざめたのです。不審に思った私が訳を聞くと、「俺、君と付き合う前に1人だけ元カノがいたんだけど……10年以上前に交通事故で亡くなったんだ」と夫。
「え?幽霊からの電話!?」「俺、連れて行かれちゃうの!?怖い怖い怖い!!」と慌てふためく夫をなだめ、私はしばらく様子見することを決意しました。
元カノの人違い
1週間後――。
案の定、「なんでまだ離婚してくれないんですか!?」と怒りの電話を寄こしてきた元カノ。
夫が違うと言い張っていることも伝えましたが、「愛する私をあなたから守るために、彼なりに秘密にしてくれているのね!」と斜め上の返事が。「この間なんて私の誕生日に温泉旅行に連れて行ってくれたし、早く私とヨリを戻したいって言ってるんだから!」と言われましたが、ここ数日夫は家を空けていません。
「未練があるからって嘘つかないでよ!彼はもう少しで私の夫になるのよ!」と喚き出した元カノ。いろいろまくしたてられた中で、私はとあることに思い当りました。
私がしばらく黙っていると、「それにそんなつまんない冷めた反応!旦那が元カノに取られてるのに悔しくないの?あんた、そこまで彼のこと好きじゃないんでしょ!?」と元カノ。
「彼の妻ならもっと泣いて惨めに悔しがりなさいよ」
「全然奪いがいないじゃない!つまらない女ね!」
「私、5年前に離婚してますし」
「え?」
自称元カノさんの哀れな末路は…
実は、私は今の夫と結婚する前に、とある男性と結婚していたのです。しかし、元夫は女癖が悪く、浮気三昧。元夫有責で別れた後、浮気相手と再婚したと聞いています。
先ほど元カノを名乗る女性の話の中で出てきたのは、その私の元夫の名前だったのです。
「じゃあ、今の彼の奥さんの連絡先を教えてください!」と言ってきた元夫の元カノに、私はやめた方がいいと忠告しました。
「今の彼の奥さんは、元ミスの美人さんでご実家が資産家なの」「いわゆる逆玉ってやつだから、元夫は今の奥さんと別れるつもりはないと思うわ」「今の奥さんを守るために、あなたには元妻である私の名前を出したんでしょう」
その後――。
私の忠告も聞かず、今の奥さんにけんかを売りに行ったらしい元カノ。しかし、結局元夫と今の奥さんは別れることはなく、反対に慰謝料を請求される羽目になったそうです。
私たち夫婦の関係性は変わりません。夫はお酒に弱く、居酒屋に行くことはないし、ホラーは苦手なまま。相変わらず、夫婦2人で穏やかな日々を過ごしています。