義父との同居生活が始まると、夫は仕事を理由にどんどん家に帰ってくる時間が遅くなり、近ごろは外泊も多くなり……。
それに、もう1つ困ったことが。義父が色ボケしていて、すきあらば私の体に触ってくるのです。夫に助けを求め、義父にやめてもらおうとしましたが、老い先も短いし勘弁してやってくれと軽くあしらわれてしまいました。
私は早くに両親を亡くしたため、その分義父に親孝行ができたらと思っていたのですが、これはひどすぎます。先日、私の唯一の肉親である妹が訪ねてきましたが、家に上げることもできませんでした。私のことをすぐバカにする、性格の合わない妹ですが、義父に変な気を起こされ、妹が巻き込まれるのも嫌なので……。
夫と妹の裏切り
近々仕事が落ち着くと言っていたのに、夫の生活は相変わらず。それどころか、今まで以上に私との生活に興味がなくなっている様子です。介護があまりにも大変なので、施設への入所を考えてほしいと言っても、義父が嫌がるからと説得もしてくれず。それに今の私たちの状況は、結婚生活とは程遠い感じです。今後の生活を改めて考えたいと伝えると、夫は突然いらつき、怒りを爆発させました。
自分がいなければ満足な生活もできないくせに、何をえらそうなことを言っていると見下してきて……。そしてさらに夫は、衝撃の事実を口にしたのです。
「お前の妹と再婚するから離婚してくれ」
思ってもみないことでしたが、これでスッキリできます。
「わかった」
あっさりと離婚を受け入れた私。しかし夫はそれに感謝することもなく、図に乗って、この後とんでもない頼み事をしてくるのです。
「父さんの介護は引き続き頼む」
「家族には変わりないからな」
また親戚になるから、引き続き介護をしろですって!? これから夫は妹の家に住むので、私はこの家で義父の面倒を見て暮らせというのです。義父の年金はくれてやる、遺産も少しは分けてやると……。人をバカにするにも程があります。
仕返しはしっかりと…♪
まず私は、今の状況を義父に説明しました。すると、義父は妹の家に連れていってほしいと……。そりゃそうですよね、色ボケ義父は私よりも若い妹に介護してほしいに決まっていますから。そもそもこれから彼を義父と呼ぶのは、他でもない妹です。離婚届を出した私は、もう赤の他人になりました!
妹は義父が押しかけ、介護をするよう迫ったせいで、パニックになっていると言います。助けてやってほしいと夫に言われましたが、人の夫を寝取るような妹ですからもう家族とも思えませんし、協力する義理もありません。別れた妻に気安くお願いをしてくる夫にも呆れます。
ひとりで生活していけないと見くびられ、夫が激安の日給で働かせようとしてくることも頭にきます。秘密にしてきましたが、独身時代の貯蓄があるので自分ひとりの生活ならいくらでもしていけるのです。
それに、私にはこれから大金が入る予定です。慰謝料のことを夫も妹も忘れているのではないでしょうか。離婚のときに話が出なかったので、請求されないと勘違いしていたようですね。後日妹の会社に押しかけたところ、さっさと払ってくれました。そういう人の目は気にするんです、あの子は。
先に見捨てたのは、あなたです!
あれほど、えらそうだった夫ですが、後日連絡がきたときには泣いてすがって大変でした。いまだ慰謝料を支払ってくれない夫ですが、それどころではなかったようで……。夫は妹にあっさり捨てられたそうで、今では連絡もつかないと言います。自分で親の介護をしなくてはならなくなった夫は、生活がめちゃくちゃになりました。今になって、やっと私の大変さが理解できたと言います。
義父は施設に入ることを拒否しており、うまく介護できない夫は会社にもきちんと通えなくなったそうです。クビも近いと言います。そこで唯一頼れる私に手伝いを願い出てきたのですが……やるわけありませんよね。会社なんて退職したらいいでしょう。退職金が出れば、慰謝料の未払いをせっつかれることもなくなります。1つ苦労が減るではありませんか。こっちとしても大変助かります。
もう正直、夫がどうなっても知ったことではないのです。妻に父親の介護をさせて不倫している夫なんて、地獄に落ちるべき! いくら謝られても、そんな男を二度と信用することはできません。そもそも、先に私を見捨てたのは夫です。天地がひっくり返ろうと、絶対に助けることはありません。
風の便りに聞いたところによると、あれだけ夫が頼りにしていた義父の遺産はまったくなかったそうです。それを知った夫はついに義父を見限り、有無を言わさず施設に入れたと聞きました。最初からそうしておけば良かったのに……。
今考えると、親子で色ボケしていたのですね。どうしようもないあの家族から逃れることができて、本当にラッキーでした。これからもう1度自分の人生を取り戻したいと思います。
この世は、義理と人情の世界でもあり、義理も人情もない世界でもあります。それは相手との関係性や付き合い方で大きく異なってくるでしょう。誰とどのように関わるか、どう関わることが適切かよく考えたいですね。