義姉は結婚していて子どももいますが、平日の夜や週末に、旦那さんに子どもを預けてひとりで義実家にやってきます。
義実家とはいえ、この家は夫が、亡くなった義父の遺言書に「実家は息子に相続させる」と記載されており、夫が相続し、夫の単独名義に変更もしています。もちろん、義母も義姉も納得していて、2人もそれぞれ相応の遺産を受け取っています。そうしてこの家は、義祖父から義父、義父から夫へと引き継がれたのです。義母も義姉もずっとこの家で暮らしていたため、義実家でもあるのですが……。
持ち主は夫で、建て替えローンは私たち夫婦で払っているのに、義母も義姉も私を家政婦のようにこき使うのです。私が少しでも義母の意に反する行動をすると「この家で一番偉いのは私なのよ。嫁は黙って言うことを聞きなさい」と義母に叱られます。
義姉は「私の実家なんだから自由に使って当然でしょ」と言って、建て替える際に、在宅で仕事をしている私用に作った書斎を義姉の部屋として使っています。そのため私は、リビングで仕事をしなければならないのですが、義母が構わず大きな音でテレビを付けているため仕事に集中できません。
私が仕事の打ち合わせで外出し、帰りが遅くなると、義母と義姉は豪勢に出前を頼み、食べた後のゴミをそのまま放置して、のんびりしています。お風呂や布団の用意、洗濯も、私が帰ってくるまで何もせず、やってもらうのを待っているのです。
そんな2人に毎日のように悩まされ、私のストレスは大きくなる一方……夫にも相談して、夫から2人に注意してもらっていますが、状況はまったく改善されないのです。
ローン完済を祝う家族旅行
そんなハードな毎日を過ごす私にも、うれしいことが♪ 夫婦で頑張ってきた、建て替えローンの返済がまもなく終了するのです。夫と2人で話していたのですが、義母に聞かれてしまっていたようで……。
後日、義母からローン完済祝いで家族旅行をしようと提案されました。もちろん義姉も一緒です。義姉は、子どもはいつも通り旦那さんに預けて、ひとりで参加すると言います。
義姉の旦那さんはとてもやさしい人ですが、本当に大丈夫なのでしょうか……私が義姉の家庭のことを心配していると、急に笑い出し「女は出産したら一人前。子どもを産んだらもう何もしなくていいの。子どもを産んでいない半人前のあなたは黙ってなさい」と言う義母。「働くことくらいしかできないダメ嫁は、家族のために稼げ」とまで言われました。
そして、旅行先は義母が決め、予約を義姉が、支払いを私たち夫婦がすることになったのです。ようやくローンがなくなったので、これからは将来のために貯蓄をしようと思っていましたが、とんだ散財をするハメに……。
さらに旅行当日、私に災難が降りかかります。旅行の予約人数が、1人分足りていないと言われました。「どうしよう! 人数を間違えちゃった〜」と義姉は焦って見せますが、最初から画策されていたに違いありません。
「じゃあ、みなさんで楽しんできてください」私がそう言うと義母は……。
「ローンの返済ご苦労様だったわね! 嫁のあなたは用済みね♪」
「もう家から出てって! 私たちが旅行から帰るまでに消えといてね〜」
義母は私を旅行に行かせず、自分たちが旅行に行っている間に私は家から出ていけと言うのです。夫の家で、ローンを払ったのは私たち夫婦、旅行代だって私が半分負担しているというのに、ひどい話です。
「わかりました」
ここまで意地悪をされると、もうあきれてしまって、怒る気にも何か言い返す気にもなりません。私がひと言だけ返事をすると、夫が「じゃあ俺も行かないで、家を片付けておくよ。せっかくだからもっとゆっくりしてきなよ」と言いました。
そして、延泊の予約をしてお金も払っておくと夫が告げると、義母と義姉は気分よさそうに出かけて行ったのです。
夫から衝撃の告白と予想外の提案
義母と義姉を見送り、慌てて夫に説明を求めた私。「家を片付けるって、私が出ていくのに賛成ってこと?」そう聞く私に、夫は衝撃の事実を話し始めました。
なんと義母は私たちを離婚させ、夫には新しいお嫁さんをもらうと言っていたそう。すでに若い女性を紹介されたと言うのです。そのため義母は、自分たちが旅行から戻るまでに、私には家から消えておいてほしいと言ったようです。
しかし、私と離婚するつもりのない夫は、内心では義母に怒り心頭だったようで、「2人が帰ってくるまでに俺たちが出ていこう」と私に提案してきました。そのための時間稼ぎで旅行を延長させたのでした。
私が納得すると、なんと1カ月も2人の旅行の予約を延ばした夫。義姉の旦那さんに事情を説明すると、1カ月間の義姉の不在を快諾してくれました。子どもの面倒は自分のお母さん(義姉の義母)に頼むと言ってくれたため、2人にそれを告げ、ゆっくり旅行を楽しんできてもらうことにしたのです。
そして1カ月後……。
「え?」
旅行からご機嫌で帰った義母と義姉。しかし、衝撃の光景に腰を抜かした2人から連絡が入りました。
ローンの返済が終わったばかりで残念でしたが、夫の提案で、家を解体することにした私たち夫婦。実は、義実家のあった場所は今はもう更地なのです。私は法的に問題がないのか不安でしたが「家も土地も俺のものなんだ。法的に何を言われようと、もうこれしかない」と夫の決意は固く、私は夫に従うことにしたのです。
「どういうことよ!?」そう言って激怒する義母に、夫は、「延長した1カ月の旅行代が手切れ金だ」と言い、縁を切ると宣言したのです。すると義姉は、自分の家には連れて帰れないと義母を拒否し、義母に謝罪させ、再び私たちと同居させようとしてきました。
義姉に言われるがまま、謝罪の言葉を口にする義母ですが、私たち夫婦はもう義母と同居する気はありません。最後に「お世話になりました」と告げ、私たちは義母と義姉の連絡先をブロックしました。
そうして夫婦2人だけの穏やかな暮らしを手に入れた私。義母と義姉と関係を切って2週間ほど経ったある日、知らない番号から連絡が入ったのです。友人の携帯を借りた義母からでした……。
家族とは…義母と義姉のその後…
義母は今、何とか義姉の家に置いてもらっているようですが、そろそろ義姉ともども追い出されそうだと泣きついてきました。そして、「私たち家族でしょ!? もう1度一緒に暮らしたいのよ!」とすがってきたのです。
実は、義姉は自分の家でも家事・育児をほとんどしていませんでした。義姉の旦那さんは、ずっと前から離婚を考えていたのです。私たち夫婦の事情を知り、協力してくれた旦那さんでしたが、義姉が不在の間、自分のお母さんの手を借りながら生活してみて、義姉はもういらないと気付いたと話していました。
すっかり旦那さんからあきれられ、帰宅早々、離婚届を突きつけられ出ていくように言われた義姉。この2週間、なんとか離婚を回避しようとゴネていたようですが、旦那さんの決意は固く、離婚は免れない様子。そうなると住むところがなくなると焦って、義母は私に連絡してきたのでした。
どれだけ謝られても、反省したと言われても、私も夫も義母を許すことはありませんでした。私たちの態度に腹を立てた義母は、今度は弁護士を立てて損害賠償を請求してきましたが、夫は「想定内だ」と冷静に対応。話し合いの末、解決金として相応の額を支払いました。そのお金で義母と義姉はアパートを借りて2人で生活を始めたようです。私たち夫婦は、これからは自分たちの幸せのために、お金も時間も使いたいと思っています。
◇ ◇ ◇
家族という関係に甘え、感謝を忘れた一方的に搾取するような行動を繰り返していた義母と義姉。自らの身勝手な行動により、家族を失う結果となりました。代々受け継いできた家を手放すこととなってしまった夫は、この決断には心を痛めたかと思いますが夫婦で過ごす平穏な時間を手に入れることができてよかったのではないでしょうか。
家の所有者は夫ですが、家を解体し、居住者である義母を強引に追い出す行為は、「居住権の侵害」や「自己救済の禁止」などにあたり、違法行為とみなされ損害賠償リスクを伴います。夫の行動は、法的なリスクを伴う、まさに崖っぷちの決断でした。しかし、それほどまでに夫婦が追い詰められていた苦しみもまた、伝わってきます。同じように家族関係に悩む方は、今回のような最終手段に至る前に、まずは専門家へ相談するなど、ご自身の心と権利を守るための最適な道を探してほしいと切に願います。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。