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婚約者を奪った妹からの結婚報告→私「逃げたほうがいいかもね」とアドバイス。実は彼は…

私の妹は、私のものをなんでも欲しがるタイプ。おもちゃや文房具、洋服など「欲しい欲しい」とゴネて、最後は自分のものにしてしまいます。

それだけならまだしも、成長した妹は私の恋人まで欲しがり、奪うように……。高校・大学、そして社会人になってからも、私の恋人だった人は、華やかで甘えじょうずな妹に乗り換えていったのです。

「お姉ちゃんに魅力がたりないからいけないんだよ?」と言って、妹は私を笑います。私は何度も妹に心をえぐられてきたのでした。

大人になった今、今度ばかりは奪われるわけにはいかない……と思って、私は妹に知られないよう、婚約者のことを周囲にも伏せていました。そして、彼のご両親への挨拶まで済ませたのですが——。

間一髪で免れた地獄

ご両親に挨拶した翌日、彼から連絡が入りました。私としては抜かりなく挨拶をしたつもりでいます。しかし彼曰く、彼のお母さんが「あの子は不合格」と言ったのだそう……。

 

それだけならまだしも、彼は「母の気持ちを聞いて、結婚を考え直したくなったんだ」と続けたのです。急に態度を変えた彼が信じられませんでした。

 

何か失礼があったのか? と尋ねると、彼は「母さんが『ちょっと地味すぎるんじゃない?』って。俺ももう少し華やかな人が合ってるのかなって、なんとなく思い始めてた」と言います。

 

地味な顔だという自覚はあります。でも、まさかそんなことで別れることになるなんて……気が遠くなるような思いでした。それに、母親の意見を優先する彼にもだんだんと腹が立ってきました。

 

「結婚の約束までしたのに、こんな理由で簡単に別れられるんだね」と確認の意を込めて言うと、「そうだね。母さんが認めない人とは結婚しないって最初から決めてたし」「母さんは俺のことを一番に考えているし、君よりも俺のことをずっとよくわかってくれてるからね」と、思わぬ返答が。

 

彼がこんなにマザコンだなんて知りませんでした。結婚したとしても、結婚式、新居、子ども……何かにつけて義母が口出しし、彼もそれに同意し私の味方になってくれることはないでしょう。

 

私は別れを告げ、勢いよく通話終了ボタンを押しました。

 

はしゃぐ妹からの報告

落ち込んだ気分からようやく前向きになれたころ、妹から「お姉ちゃんの彼氏、また奪っちゃった! ごめんね!」と連絡が来たのです。

 

最初はなんの話か理解ができませんでしたが、どうやら妹は元婚約者のことを言っている様子。

 

「たまたまお姉ちゃんと歩いてるの見かけて、気になってたんだ〜。それにしてもお姉ちゃんやるじゃない! 有名大卒でお勤め先もいいところ! 実家も太いし……そんなハイスぺとお姉ちゃんが付き合えてたなんてびっくり!」と嬉しそうに話す妹に、胸がズキッと痛みました。

 

「偶然を装って声をかけたら、向こうもまんざらでもなさそうで……何度か会ってるうちに、自然と距離が縮まったの。私たちが姉妹だと知っても、私が良いって言うし!」と妹。どうやら、私と別れたころ、元婚約者はすでに妹ともやり取りをしていたようです。

 

妹は、私がショックを受けているとでも思ったのか、得意げに「彼のご両親、私をすごく歓迎してくれてるの。お姉ちゃんはうまくやれなかったんだね」と話してきました。

 

 

婚約者の隠れた顔

元婚約者の良いところしか見えていないであろう妹……。おそらくマザコンであることには気付いていないでしょう。

 

今まで妹からされた仕打ちの数々を思い出し、一瞬真実を告げることにためらいを覚えた私。しかし、妹が不幸になるのをわかっていながら口をつぐんでいるなんてことはできません。私は、妹に婚約破棄になった一部始終を話しました。

 

「そいつからは逃げたほうがいいかも……。結婚してからが本当にヤバいと思うんだけど、その覚悟はできてるんだよね?」と聞くと、妹は「私のときはすごくやさしかったのに……」と半信半疑な様子。

 

少し考えて「私はお姉ちゃんと違って、お義母さんに気に入ってもらえたもん! 美人で華もあるって言われたし……お義母さんともうまくやって、幸せな勝ち組になってやるんだから!」と言って、電話は切られてしまいました。

 

元婚約者からの電話

1カ月後、「どうしよう、あいつ、想像以上のマザコンだったんだけど……」と妹から再び連絡が来ました。

 

最初のうちは掃除や料理についてのアドバイスをしてくれる、いい義母だったそうです。しかし、だんだんと「いつでも息子の様子を見に来られるように、合鍵を預かってもいいかしら?」「新婚旅行も、心配だから同じホテルに部屋を取るから」と言ってくるようになったと言います。

 

妹が断ると、今度は元婚約者――義弟が「ママの言うとおりにして! ママは俺たちのことを思って言ってくれてるんだから!」と義母の肩を持つようになったそう。想像を絶する新婚生活に、私は言葉を失いました。

 

同時に、もしかしたら自分が同じ思いをしていたかもしれないと思うと、ゾッとします。

 

それでも私は「結婚するって決めたのは自分でしょ。うまくやれるって言ったんだから、もう少し頑張ってみたら?」と慰めることしかできませんでした。

 

 

その3日後、今度は元婚約者から電話がかかってきました。「お前の妹はどうなってるんだ!? 母さんにあんな暴言を吐くなんて!」と怒りをにじませた声で言っているので、私は詳しく話を聞くことにしたのです。

 

どうやら義母が、「お料理教室に通いましょう」と妹に言ったのが事の発端だそう。妹は料理をはじめ、家事全般が得意ではありませんでした。彼の母親なりに妹のことを思って言ってくれたのでしょうが、妹は我慢の限界。

 

「いちいち指図されるのウザいんです!」と、ついに噴火してしまったそうです。元婚約者に対しても、「このマザコン男!」と言ったのだとか。

 

彼の話は続きます。「母さんに暴言を吐く子はちょっと……。俺たちやり直せないかな? それなら離婚してもいい!」と、信じられない展開に!

 

もちろんそんなのお断りです。間髪入れずに断ると、元婚約者は驚きを隠せないというリアクション! 私がいつまでも自分のことを想っていると、信じて疑わなかったようです。しっかりと復縁を断って、電話を切りました。

 

囚われた妹

翌週、再び妹から連絡が入りました。きっと家を追い出されて困っているに違いないと思って話を聞いていると、さらなる急展開が!

 

離婚しようと心に決めた妹は、義母や夫に言いたい放題言っていたよう。しかし状況は妹の思惑に反した様子。離婚どころか「私にここまで言える子はあなたが初めて! ますます気に入った」「はっきり意見を言える子のほうが頼もしい」と、義母から絶大な信頼を得るようになったそう。

 

そんな義母の反応に、夫もすっかり上機嫌。離婚を切り出す雰囲気ではなくなってしまったようです。

 

「今までのこと全部謝るから、助けてくれない……?」と震える声で言う妹。姉としてなんとかしてあげたい気持ちもありました。しかし、これは妹が選んだ道。私を傷つけるとわかっていながらも、わざわざ選んだことなのです。

 

「自業自得」と自分に言い聞かせて、私は妹に「ごめんね、私にはどうすることもできない」と伝えました。受話器越しに「見捨てないで!」と泣き叫ぶ声が聞こえる中、私はそっと電話を切りました。

 

 

それから1年が経ちましたが、妹はまだ離婚できていません。義母と夫のペースにのまれて、今では同居し3人で生活していると聞いています。あんな母子でも、裕福な家庭であることに違いはありません。きっと妹は開き直ったのでしょう。

 

あのとき、あのまま結婚していたら……と考えると、今でもゾッとします。あんな形でも目が覚めるきっかけをくれた妹には、ある意味感謝しているのです。そして私は新たな恋人と穏やかな生活を送っています。今度こそ、自分の幸せを奪われないように、静かに愛を育んでいくつもりです。

 

【取材時期:2025年7月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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