こんにちは!助産師のREIKOです。「母乳はオーダーメイドの栄養」って聞いたことがありますか? この言葉、ヒトの母乳にだけいえることではありません。今回は、ヒトとそのほかのほ乳類の母乳について調べてみました。
ヒトの母乳の特徴は?
ヒトの母乳は、ほ乳類の中でいちばん乳糖が多く含まれているため、ほんのり甘い味がします。しかし、たんぱく質の量はほ乳類のなかで最も低いといわれており、脂肪の量も相対的に少なく、カロリーが少ないのが特徴です。
赤ちゃんを産んでから数日間分泌される初乳は、黄色みが強く少し粘り気のある母乳ですが、日にちがたつにつれ、白っぽくさらさらとした成乳に変化していきます。見た目もそうですが、母乳の成分の割合も変化していき、じょじょに乳糖や脂肪、たんぱく質の量も増えていきます。
また、成熟時のママの母乳に比べて、早産時のママの母乳のほうが脂肪やたんぱく質、乳糖の割合が多く、赤ちゃんが生まれた時期によっても母乳の成分が変わるんですよ。
ほかの哺乳類の母乳は?
身近なほ乳類の母乳というと、牛乳を思い浮かべる方が多いかもしれません。乳糖と脂肪の割合に着目してみると、やはり牛乳はヒトの母乳に近いといえるかもしれません。しかし、それ以上にウマの母乳のほうがヒトの母乳に近いんですよ。
ほ乳類の中で脂肪分が高いのはトドやアザラシの母乳で、ヒトの母乳の3~5倍ほどといわれていて、授乳回数もごく少ないといわれています。やはり寒い地域で育つ動物の赤ちゃんは、少ない母乳でたくさんの栄養を摂取して成長していかないと命の危険性もあるからなのだと思います。
そして、今大人気となっている上野動物園のシャンシャンも飲んでいたであろう、パンダの初乳は、緑色をしているってご存知でしたか?おそらく食べている笹のせいだと考えられているようです。
授乳スタイルも理にかなっている?
ヒトの赤ちゃんは、ママに抱っこされて母乳を飲みます。ほかのほ乳類は?というと、これも理にかなっているんです。
肉食動物は、母親が横になって赤ちゃんが吸いつくパターンが多く、草食動物は親も子も立ったままのことがほとんどです。やはり草食動物は敵に襲われる可能性もあり、すぐに逃げられるようにしているからなんです。肉食動物は逃げる必要が少ないので、ゆったり横になって授乳できるんですね。
同じほ乳類でも、生活環境や食べ物などで母乳の成分や授乳の仕方がちがうということがわかりました。母乳育児に日々奮闘しているママたちのちょっとした息抜きになればと思います。
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。