高学歴で起業家の兄と違い、高卒で実家でのんびり暮らしている私。家族仲はとても良いのですが、兄の婚約者は私のことを「貧乏フリーター」と呼び、毛嫌いしています。
さらに、「結婚しても、貧乏人のあなたとは仲良くする気はない」とまで言ってきて……?
私を見下す義姉
結婚式当日――。
さんざん兄の婚約者には見下されてきたものの、大好きな兄が幸せになれるのならと婚約者の本性を黙っていた私。しかし、結婚式でも兄の婚約者は私を見下す発言を繰り返してきたのです。
「そのドレス……貧乏人らしさが滲み出ていて、私たちの豪華な結婚式ではすごく浮いてるわ」「貧乏フリーターじゃこんな高級ごはんは滅多に食べられないでしょう?」「食べ慣れていない高級料理でおなかを壊さないでね?私の大事な結婚式をぶち壊すなんて許さないんだから」とさんざんな言いよう。
「さすが一流ホテルの料理は違うわ~w」
「貧乏人には高級すぎて味がわからないわよね?w」
「お褒めいただき光栄です」
「え?」
貧乏フリーターの正体を明かすと…
そう、今日の兄夫婦の結婚式場の料理は、すべて私が作ったもの。さすがに当日の調理はほかの料理人に任せましたが、コースメニューの考案から食材の調達、仕込みまですべて私が行ったのです。
「彼がここのホテルの料理人と知り合いで、その人に一任したって言ってたわ」「あなたがこんな料理作れるわけないじゃない!」と兄の婚約者。
察しの悪い兄の婚約者に、私はため息をつきながら、「だから、その兄が知り合いだと言っている料理人が私なんですよ」と言いました。
「ど、どういうことなの?」「高卒で実家暮らしで定職にもついていない貧乏フリーターでしょ!?」と兄の婚約者。
実際、そのことは否定できないのです。
私は高校卒業後、すぐに料理修行のためにイタリアに向かいました。優秀な兄から「本気で料理人を目指すならとっとと本場に行け!」と後押しされたからです。高校在学中には兄がみっちりイタリア語を教えてくれたので、イタリアでは料理の勉強に集中できました。帰国後は、ホテルの料理人に応募。イタリアでの経験が認められ、無事採用になったのです。就業後、コースメニューの考案などを任されるまでにあまり時間はかかりませんでした。
採用後、実際に仕事が始まるまでは1カ月ほど期間がありました。そこで、しばらく実家でのんびりしていた私。兄の婚約者が私をフリーターと勘違いするのも無理はありません。
腹黒女の末路
婚約者が激しく動揺したことに気付いたのか、兄が私たちのもとへ近づいてきました。婚約者はそれに気付かず、私に対して「ありえない……貧乏フリーターのくせに……」と未だに失礼な発言を繰り返しています。
「俺の妹が貧乏フリーターとは、どういうことだ?」と兄。婚約者は飛び上がって驚いていました。兄や両親の前では上品で思いやりのある女性を演じていたこともあり、必死に取り繕おうとしていました。
そこで、私は今までの兄の婚約者の発言を兄にすべて暴露。兄は私が小さいころから料理に夢中で、熱心に勉強していたことを挙げて、「妹は優秀な料理人だぞ!」と婚約者に激怒。まぁ、優秀すぎる兄のせいで私の経歴や実績もかすんでしまっているのですが……。
「私より妹をかばうなんて、あんたシスコンじゃない!」と婚約者が言い出して、結婚式は修羅場に。そのまま式は中止せざるをえませんでした。コースの半分もまだ出せていなかったのに……料理人としてはそこが残念でなりません。
その後――。
兄は大切な家族である私を侮辱されたことに激怒していました。婚約者はなんとか兄の気持ちを取り戻そうとしていたのですが、「シスコンのあんたと結婚してあげる女は私くらいしかいない」と言って火に油を注ぐ結果に……。
結局、兄とその婚約者の結婚は破談になりました。私もあの腹黒い女性が家族にならないで済んで、ほっとしています。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。