妻である私よりも、保育園からの幼なじみの女性を優先する夫。幼なじみも幼なじみで、何かある度にうちの夫を頼ってくるのです。
そして今日も、幼なじみから「泥酔してひとりで帰れない」と連絡を受けた夫は、深夜にもかかわらず出かけていってしまったのです……。
あいつはただの幼なじみ
――翌朝。
結局、夫はそのまま帰ってきませんでした。道中で何かあったのではないかと気をもんでいると、例の幼なじみから連絡が。
「ごめんね~!また夜中に旦那さんのこと呼び出しちゃって!」とあっけらかんとしている夫の幼なじみ。
「あの、夫はまだ家に帰ってきていないんです」「あなたを家まで送ったあと、どこに行ったか知りませんか?」と聞くと、「え?普通に朝まで私を介抱して、そのまま出社したよ?」との返事が。
2人きりで朝まで過ごしていたということを聞き、私は目の前が真っ暗になりました。幼なじみを家まで送ったらすぐに帰ってくると言っていたのに……。
「昔からやさしいから、つい頼っちゃうんだよね~」「あいつもあいつで、私の世話を焼くのが好きみたいだし!」「二日酔いの私のためにしじみの味噌汁も作ってくれたし、本当に気が利くいい男だよね~!」
幼なじみとはいえ、夫は今は私の家族。パートナーがいる男性を、夜中に何度も呼び出すのは非常識だと感じていた私は、はっきりと「こういうのはもうやめてもらえませんか」と言いました。
すると、「はぁ?もしかして私に嫉妬してる?」「夫の交友関係に口を出す女って嫌われるよ?」「こんなのが嫁で、あいつったらかわいそう~」と煽ってきた幼なじみ。
しまいには、「また深夜に呼び出すかもしれないけど、幼なじみのよしみってことでよろしくね~!」と言ってきたのです。
秘めたる恋心の実り
それから2週間後――。
夫から「大事な話がある」と言われた私。姿勢を整えてから聞いてみると、とんでもないことを言われました。
「いきなりだけど、俺と離婚してくれ」「幼なじみが俺の子を妊娠したんだ」
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた私。深夜に幼なじみの家に行くことも多かった夫は、やはり幼なじみと男女の仲になっていたのです。
「俺、幼なじみのアイツの事がずっと好きだったんだ」
「この家には彼女と住むからおまえは出ていってくれw」
「は?ここ私の家なんだけど」
「え?」
私はずっと2番目の女だったのです。こんな男の妻の座にいつまでもしがみつく必要はない、と瞬時に判断しました。そして、ここは私の家です。追い出される筋合いはありません。
「このマンションを借りるとき、あなた名義で借りられなかったこと、忘れちゃったの?」
新婚当時の私は、夫が不動産のブラックリストに載っていることを知って、とても驚いたのです。家賃滞納でもしたのだろうと思っていたのですが、本当の理由は原状回復できないほど、部屋をめちゃくちゃに壊した学生時代の過去があったから。
しかも、部屋を壊したのは夫ではなく、泥酔したあの幼なじみだったのです。壁に椅子を投げて穴を開けたり、酔ったまま料理しようとしてボヤ騒ぎを起こしたり……。夫は必死に事情を説明したそうですが、借主の名義は夫。そのまま即退居となり、夫は不動産のブラックリストに入れられたのです。
何件もの不動産屋さんに頭を下げて回り、ようやく貸してもらえたのがこのマンションの一室。私名義にすることを条件に、貸してもらったのです。
「誰がこの家から出て行くべきかはわかるわよね?」「あなたの荷物と離婚届はまとめてご実家に送っておきます」「あなたのご両親にもしっかりお話しておくからね」
そう告げると、夫はしょんぼりとうなだれていました。
捨てられたのはどっち?
数日後――。
「やっぱり離婚するのはやめないか!?」「俺とやり直してくれ!」と夫から連絡が。
「せっかく初恋が実ったっていうのにどうしたのよ?」と聞くと、夫は幼なじみから捨てられてしまったそう。
幼なじみに、この家には住み続けられないことを正直に打ち明けた夫。不動産のブラックリストに入っていることや、この家の家賃の大半は妻である私が払っていて、夫自身にはそこまで収入がないこと、私から慰謝料を請求される可能性があることなど、すべて話したそうです。
すると、幼なじみは「お金もない、マンションも借りられない男に用はない」と言ったそう。そして、「おなかの子どもの父親はあなたじゃない」と暴露してきたそうなのです。
「俺はおなかの子どもの責任を取るために離婚を提案しただけだし……」「責任を取る必要がないなら離婚しなくてもいいよな!?」とどこまでも自分勝手な夫。しかし、幼なじみの嘘を信じてしまったということは、夫と幼なじみもそれなりの関係にあったということです。
「私は前からあなたと幼なじみの距離の近さが嫌だった」「妻よりも別の女性を大事にするし、何度言っても聞いてくれないし……」「裏切った男にこれから大切にされてもうれしくないから、絶対に離婚します」
夫が何を言ってきても、私はもうほだされたりしません。離婚する意思は揺るぎませんでした。
その後――。
無事に私と夫は離婚。元夫とその幼なじみには、しっかり慰謝料を支払ってもらいました。
幼なじみのおなかの中の子どもの本当の父親は、既婚男性だったそう。その男性に「遊びだった」と捨てられた幼なじみは、また元夫にすり寄ってきたものの、元夫も冷たくあしらったそうです。
先日、たまたま元夫の会社の近くを通ったときに、幼なじみの姿を見かけました。気付かれないよう遠くから見ていると、夫が会社から出てくるなり、幼なじみは「私ひとりでは育てられないよ!お願い、子どもを認知して!一緒に育ててよ!」とわめき散らしていました。
夫と一緒に出てきた会社の人たちは、夫に白い目を向けていました。2人の周りから人がいなくなるのも、時間の問題かもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。