おじいさんがとったまさかの行動とは
9歳の長男と2歳の次男を連れて、近くのショッピングモールへ出かけたときの話です。お昼寝をしていなかった次男はだんだんと機嫌が悪くなり、私のカバンに入っていたお菓子をつかんで、床に投げつけました。「お菓子、床に投げないの!」と私が怒ると、次男は火がついたように大号泣します。
必死に次男をあやしていると、前を通りかかった年配の男性が怪訝そうに私たちのほうを見て近づいてきました。「すみません……」と私が慌てて謝ると、年配の男性は私のことなど無視して、次男の腕をグイッと引きます。そして、次男の耳元で「静かにしろ!」と怒鳴り、バシッ! と平手で次男の背中を叩いてきたのです。次男はびっくりした様子でさらに泣き出します。私は突然の出来事に「は!?」としか言えず、すぐに次男を男性から離すように遠ざけました。あまりの衝撃にしばらく放心状態の私。すると、長男が男性に「暴力やめてください!」と声を出して注意したのです。まさか、子どもから注意されるとは思っていなかったらしい男性は、周りの目も気になったようで、チッと舌打ちをして睨むように去っていきました。すぐさま次男が無事か確認をしたところ、幸い怪我もなくてホッとしました。
子どもにやさしく声をかけてくれる人ばかりではなく、いろいろな思いを持っている人がいるのだと改めて気づかされました。しかし、何を思っていたとしても、よその子どもを叩くなんてもってのほか。相手が逆上して長男にまで暴力を振っていたかもしれないと思うと怖くなり、何もできなかった私は強く反省しました。長男には注意してくれてありがとうと言い、そして言い返すと危ないから暴力をふるう人には言い返さないよう伝えました。今後同じことが起きたときにはすぐその場から離れたり、周りの人に大きな声で助けを求めたりして、息子たちを守っていこうと強く思った出来事です。
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とても怖い目にあいましたね。お子さんたちやママさんに大きなけがやその後のトラブルがなくてよかったです。
このような場合にどのようにしたらいいのかは、とても難しいと思います。ママさんのおっしゃる通り、世の中にはさまざまな人がいます。子どもに対してやさしい社会であってほしいと願いますが、このようなことが起こってしまうのも現実です。
それでは、このような被害に合わないためにはどうすればよいのか、また、被害にあったときにどう行動するのが好ましいのか。12年間保育士として勤務し、現在は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」などの部門に携わる、大学教授の小崎恭弘先生にお話を伺いました。
子どもを守るために
子どもに対して好意的な人ばかりではないということを考えると、今回のようなことが起きる可能性を避けるようにする、あるいはできるだけリスクを下げるということが求められます。
今回の事例では、お子さんが泣いているということが1つのきっかけとなった可能性があります。誤解のないように言いますが、これは決してお子さんやママさんが悪いということではありません。子どもが泣くことは自然なことなので、止められない場合も多いです。それでもこのような暴力を受けることや理不尽な人との出会いを減らすために、「泣き止むまで人目のつかないところに行く」「落ち着くまでママが抱きしめてあげる」などはどうでしょうか。
状況によって違ってくるので、この方法が最善なのか、また、実際にできるかどうかは難しいところですが、周りの人やお店の人に助けを求めるということも一つの方法だと思います。そして、男性に注意をした長男くんのその姿勢は、とても素晴らしいと思います。しかし、その場で相手が激昂したり、何かしらの仕返しをしてきたりする可能性も考えられます。今回は、何もせず立ち去ってくれてよかったです。長男くんのその行為はほめてあげてほしいですが、もしまた同じような被害にあったときは、子どもが直接対峙するのではなく、保護者や周りの大人に助けを求めるようにと伝えてほしいと思います。
著者:秋山みづき/30代・ママライター。おだやかな9歳の男の子と、パワフルすぎる2歳の男の子を育てるズボラママ。家事・育児は手を抜きながら、家族が楽しく過ごすことを目標にしている。ヨガを習いたいと思いつつ1日が終わる今日このごろ。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年7月)