こんにちは、助産院ばぶばぶのHISAKOです。「赤ちゃんの吸う力が強すぎて、乳頭に傷ができてしまい、痛いんです!」そう訴えて助産院ばぶばぶに駆け込んでこられるママがいます。
乳頭のトラブルは、果たして本当に赤ちゃんの『吸う力』の問題なのでしょうか? 今回は、乳頭トラブルについてお伝えします。
生まれてまもない赤ちゃんの吸う力
生まれて間もない赤ちゃんは体力がありません。また、ほっぺの筋肉も未発達なので、それほど上手には飲めません。彼らは舌で乳頭・乳輪を巻きつけ、お口の中を真空状態にします。そして舌をのどの奥から手前に向かって波打たせながら器用におっぱいを飲みます。
でも実は、赤ちゃんの月齢、出生時の状態、体重、舌の長さ、おっぱいに対する執着度などの個性が影響して、テクニックの上手い下手はあれど、「吸う力」を比較すると、どの子も「吸う力」の強さには大差はないように思います。
正しい吸い付きができていないのかも
赤ちゃんが体重5,000gを超えるぐらいからしっかり飲めるようになるといわれるのは、吸引圧が上がるという意味ではなく、体力がついて、すぐにはヘタばらなくなることや、舌の巻きつけが上手になって、有効な吸い付きができるようになるということを示します。
つまり、「吸う力が強すぎて痛い!」というのはちょっと違うんですよね。乳頭が痛いのは、赤ちゃんの吸引圧の問題ではなくて、浅飲み、潰し飲み、歪め飲みなどの原因。要するに『正しい吸い付き』ができていないからです。
痛いときには仕切り直し
だって考えてみてください。わたしたちは哺乳類です。赤ちゃんの力強い吸い付きで、いちいちおっぱいが傷だらけになるような仕組みに、身体がつくられているはずがないと思いませんか? きちんと正しく吸いつけさえすれば、どんなにパワフルに飲んだところで乳輪・乳頭が傷だらけになるはずはないのです。
吸わせたときに「痛い!」と思ったときは、我慢してそのまま授乳を続行するのではなく、一度おっぱいを口から外して仕切り直しをしましょう。
『痛い=赤ちゃんの吸う力が強い』ではなく、『痛い=歪み飲み、浅飲み、引っ張り飲み、潰し飲み』です! これらはおっぱいトラブルの元凶ですよ!
総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年に11人目を出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。