聞きたくもないマシンガントーク
急いでいる私のことなどお構いなしに、サエコのおしゃべりは止まりません。「相変わらず私のまねして髪の毛内巻きにしてるんだね」と言われ、自意識過剰な性格は変わっていないことがわかります。
サエコのマシンガントークは、聞いてもいないのに過去の恋愛話に。サエコはこの会社に彼氏がいたけれど、取引先の人に告白されて結婚したそう。元彼氏はイケメンだったけれど、奥手すぎておもしろくなかったと、知りたくもない情報を知ってしまいました。
今どうしているのか? と聞かれたものの、この会社にいる人と結婚していると伝えると面倒になりそうだったので、私は曖昧な返事だけしておきました。
サエコもさほど興味がなかったようで、自分の話だけしたら満足した様子。嵐のように去っていったのでした。
夫の元カノ!?
ある休日、夫と街を歩いていると、サエコにバッタリ! まさかまた会うとは思わずびっくりしましたが、私の驚きはそれだけで終わりません。
「あれ? なんでマコトと一緒なの? 結婚したって聞いたけど、相手この子なの?!」と夫に話しかけるサエコ。その後、私を見て「こいつ私に夢中だったんだよー。私のお古でごめんね!」と言ったのです。
先日サエコが言っていた、前に付き合っていた会社の先輩とは夫のことだったようです。それを聞いた夫は、怒りをあらわにしてサエコを怒鳴りつけました。「勘違いするのもいい加減にしろよ! 何度も言ったけど、お前と付き合った覚えはない!」
どうやら付き合っていると思っていたのはサエコの思い込みで、夫はサエコの付きまといに迷惑していたようです。
しかしサエコは認めず、夫の言葉に怒って、逆方向にズンズンと歩いていってしまいました。サエコの思い込みを訂正できず、夫もがっかりしていました。
思い込みが激しすぎるゆえに……
次の日夫が出勤すると、会社は騒然! なんと、サエコの夫が会社に押しかけてきて、サエコの同僚に「俺の嫁と浮気してんだろ!」と掴みかかっていたそう。
しかし同僚はなんのことだかわからない様子。昨日のことを思うと、おそらく浮気はサエコの思い込み。あらぬ疑いをかけられて気の毒な同僚を見ていられず、夫が仲裁に入ったようです。
しかしサエコは「付き合おうと言われた」「私は誘われた」と言って譲りません。話が噛み合わず大変だったと夫は言います。
結局、サエコはこの一件で会社にいられなくなり、自主退職したそうです。私もそれ以来ばったり会うことはありません。夫の元カノのことは気にしないタチですが、それでもサエコが元カノではなくてよかったと思ってしまった出来事でした。
思い込みは恐ろしいもので、自分の知らないところで言いふらされていたらと思うとヒヤヒヤしますね。ここまで大きな思い込みをすることは滅多にないと思いますが、自分が考えていることが正しいか、思い込みに囚われず、客観的な視点を持ち続けることが大切だと改めて思わされるお話でした。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。