変わってしまった夫
浮気調査を頼むと、夫には不倫相手がいて、うちに帰ってこない日は不倫相手の家にいました。相手は会社の同僚です。
義両親の葬儀でも手伝いをしてくれて、遺産の話も聞こえていたかもしれません。夫が相続した遺産狙いでは? と思わずにいられませんでした。
しかし夫はそれを認めようとせず、自分たちは愛し合っていると言って聞きません。もう、夫の心は戻らない……そう悟った私は、離婚を決意しました。お互いが憎しみ合う姿を娘に見せたくないと考えたのです。
夫も離婚に賛成。離婚に際して、私は2つの条件を出しました。夫はすんなりと了承。程なくして、私たちは別々の道を歩み始めました。
夫の急死で事態が一変!
こうしてシングルマザーとなった私。娘との2人暮らしは忙しくも穏やかで、笑顔の絶えない日々でした。しかし、2年が経ったころ、元夫が交通事故で亡くなったと、元夫との共通の友人が教えてくれました。
私はもう二度と会いたくないと思っていましたが、娘にとっては実の父親。離婚後の交流は一切なかったものの、娘が参列すると言うので元夫の葬儀に行くことにしました。
葬儀場につくと、当時不倫相手だった女性が喪主として葬儀を取り仕切っていました。彼女は私たちを見つけるとすぐに近寄ってきて「あんたたち、遺産狙いで来たんでしょ? 残念ながら、遺産は現妻の私がもらうから! 前妻には一銭も渡さない」と、挨拶もせずにニヤニヤ。
夫を亡くした人とは思えない振る舞いを見ると、夫の財産目当てに近づいたことは、間違いないようです。
夫のせめてもの償い
しかし現妻は大きな勘違いをしているようです。元夫から何も聞かなかったのでしょうか……。私は「あなたの夫、再婚してないんじゃない?」と教えてあげました。
私の言葉を聞いて、現妻はきょとんとした顔をしています。実は、夫と離婚する際にした約束の1つ目が「娘が成人するまで籍はそのままにする」というもの。せめて戸籍の上だけでも大人になるまで家族でいたい、という娘の気持ちを汲んでのことでした。
そして2つ目が、娘が成人した時点で元夫から娘に一定の財産を生前贈与すること。その後は再婚でもなんでも好きなようにしてもらって構わないと、私たちは決めていたのでした。
念のため、葬儀場に来る前に役所で戸籍謄本を取ってから来た私は、現妻にそれを見せて籍が入っていないことを証明しました。遺産で悠々自適に生活するつもりだった現妻は、計画が狂って肩を落としていたのでした。
元夫はその約束をきちんと守っていて、娘の分の遺産はしっかり残しているようです。最低な夫でしたが、せめて娘に対する筋を通してくれたことには感謝します。
家族を裏切ったことは許し難いことですが、約束を守っていたことだけは、元夫のせめてもの償い。娘への愛情を最後まで持ち続けていた証なのかもしれません。そして、遺産目当てだった現在の妻の思惑通りにならなくてよかったですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。