効率化の一点張り
新社長が就任してから、職場の雰囲気は途端に険悪に。彼は業績向上を優先し、従業員やパートに怒鳴りつけながら過度な効率化を推し進めたのです。しかも現場の意見は無視するばかり……。
ある日、私がお客様に売り場を案内していると、彼にはそれが「時間の無駄」に見えたよう。
「無駄な時間を使うな! お客さまとの会話なんて必要ない、商品の補充に集中しろ!」
長年働いてきたパート先で、顧客とのコミュニケーションを大切にしながら働いていた私は、そのことを説明しようとしたのですが、新社長はまったく耳を傾けてくれません。
上から目線で機械的に働くことを押し付けられ、スーパーの空気はさらに悪化していきました。
我慢の限界
さらに、従業員にだけでなく、お客さまにも失礼な態度を取りだした新社長。スタッフと談笑していたご老人に、「仕事の邪魔をする害悪老人」だなどと暴言を吐き、「出禁だ!」とわめいたのです。
あまりのことにもちろん私たちは反発。しかし彼はその声を完全に無視し、二言目には「人件費を削減する」と解雇をちらつかせるように。その結果、多くのベテランスタッフさんたちが離職してしまいました。
この状況には私もついに限界。「前社長への恩義があってこれまで頑張ってきましたが、状況が変わらないなら私も辞めさせてもらいます!」と直訴しました。
「あっそ、勝手にどうぞ。お前みたいな年増、どうせ親父の温情で雇っていたんだろ? むしろ、辞めくれたほうが節約できていい」
そうまで言われては私も立つ瀬がありません。すぐに辞表を出し、お店を後にしたのです。
横暴社長の自滅
30年勤めたスーパーを辞めた私は、向かいにあるライバル店の別スーパーで働くことに。実は前々から誘われていたのです。しばらくすると、前職のお店の客足が急減し、逆に現職のスーパーは大繁盛。私をひいきにしてくれている常連さんがこぞってこちらに買い物に来るようになったからです。
ところが例の新社長は、わざわざライバル店に出向き、年配のお客様と歓談しながら食材をすすめていた私に、イチャモンを付けてきました。「お前が裏で何かしたな? ウチの客が減ったのはお前のせい!」
私は冷静に答えました。「何もしていませんよ。ただ、皆さんが私を信頼してくれただけです」
加えて、目の前にいた年配女性も私の味方に。実は彼女、以前この横暴社長に「出禁だ!」と騒がれて嫌な目に遭ったあのお客様だったのですが……。「ご存じないようだけど、私の夫はそちらのスーパーの主要株主です。今度の株主総会で、あなたのような社長は解雇を検討するよう伝えておくわね」
これには私も新社長もビックリ。彼は態度を一変させて平謝りです。私にも、「お願いだ、戻ってきてくれ! このままではウチがつぶれる……」と泣き落としに入りました。
しかし、今さら戻ることはありえません。私の今の職場はこちらのスーパーなのです。その後、横暴社長は別店舗に異動され、店員としてイチから修行を積むようお達しが出たのだとか。向かいのスーパーには別の社長が就任し、また良きライバルとして今の私のパート先と競い合っています。
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無駄を省き人件費削減ばかりをうたう新社長。横暴すぎて誰からも見放されてしまいました。やはり人と人とのつながりには会話や触れ合いが大事ですよね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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