「昨日は高級エステに行ってきたの!」「これからピラティススクールでレッスンなのよ!」と、自慢ばかりしてくる義母。関係を悪くしたくない私は、いつも「素敵ですね!」「さすがお義母さん!」などと言っていました。
しかし、次第に義母は私を見下す発言をしてくるように。「私みたいな顔なら1回5万のエステでしっかり美しくなれるけど、あなたみたいな庶民顔だと5万ごときじゃ何も変わらないわよね」「贅沢って似合う人と似合わない人がいるから……」などと、馬鹿にしてくるのです。
義母と話すのがしんどくなってきた私は、夫に相談。夫は「母さんもお前が唯一の話し相手だから、つい気を許してそういうことを言っちゃうんだよ」とどっちつかず。
そんな折、義母から「豪華客船での旅を予約したの~!」と連絡があったのです……。
倹約と無縁の義母
資産家だった義父が亡くなって、数億もの遺産を相続した義母。普通の生活をしていたら、とても使いきれる額ではありません。
しかし、義母は毎日贅沢三昧。意を決して、私は「旅行後は、少し倹約してみては……?」「お義母さんの老後が心配なんです」と義母に提案してみたのです。
すると、「旅行前の一番楽しいときに、どうしてそんなこと言うの?」とへそを曲げてしまった義母。
「倹約なんて、なんでそんな貧乏くさいことしなきゃいけないのよ?」「庶民のあなたにはわからないでしょうけど、私はずっとお父さんに甘やかされて生きてきたの」「お金に苦労したことはないし、これからもこの生き方を変えるつもりはないわ!」
これ以上何か言っても、どんどん関係を悪化させるだけでしょう。そう思った私はすぐに「すみませんでした、私はもう何も言いません」と謝りました。
そして、「クルーズ旅行、楽しんできてくださいね」と言うと、義母は「あの……息子からは、何も聞いてない?」と少し声を潜めて言ってきたのです。思い当たる節がまったくなかった私が「え?何のことですか?」と聞き返すと、義母は焦ったように「あぁ、知らないならいいの!なんでもないわ!」とだけ言って電話を切りました。
いつもならここからさらに1時間は自慢話が続くのに……。長時間の義母の自慢話に付き合う覚悟を決めていた私は、拍子抜けすると同時に違和感を覚えました。
義母の焦りの理由
2週間後――。
「ねぇ、今月のはまだなの?」「私、もう待ちきれないんだけど!」とイライラした様子で私に連絡してきた義母。私には何のことかさっぱりわかりませんでした。
「クルーズ旅行の振込期限が今週末なの!だから早くしてちょうだい!」と言われても、何が何やら。しかし、義母は「とぼけてんじゃないわよ!いつものあれよ!わかるでしょ!」「まさか、私に頭を下げさせたいとでも言うの?」とどんどん語気を荒げていくのです。
「今月の仕送りはまだ?息子からの送金がないのよ」
「早くしないと豪華クルーズ旅行に行けないじゃない!」
「え、仕送り?何のことですか?」
「あ…」
少し落ち着いたのか、「あ、あれ……?まさか本当に何も知らないの?」と義母。
「はい、まったく何も知りません」「だから、お義母さんが詳しく説明していただけますか?」とできるだけ丁寧に問いかけた私。
「先日自慢されていたクルーズ旅行、わが家からの仕送りで行くんですか?」「てっきりお義父さんの遺産をいつものように使うのかと思ってましたが」と話しながら、だんだんと自分の鼓動が早まっているのを感じました。
慌てふためいている義母は「仕送りは私がお願いしたわけじゃなくって!」「息子が勝手に、『俺が助けるから』って毎月……」「え、えっと、あの、別に毎月60万円ももらってたわけじゃないのよ!?」と勝手に大暴露。
なんと、夫は私に黙って毎月60万円もの大金を義母に送っていたというのです。言い訳を繰り返す義母とのやり取りを終えて、すぐに私は夫婦の共同の貯金残高を確認。そこにはほとんどお金は残っていませんでした。くちびるをぎゅっとかみしめながら、そのまま私は夫に連絡しました。
夫婦のほころび
私が仕送りのことを聞くと、夫は「嘘だろ……母さんにはあんなに口止めしておいたのに!」と叫びました。
「まずは勝手に仕送りなんてしてごめん……」「今更あの人に節約とか倹約なんて言ったって無理だし、お金渡してた方がラクなんだよ」「最初は数万だったんだけど、『もっと増やしてくれ、助けてくれ』って言われてその通りにしているうちに、そんな金額になってて……」
義父の遺産は早々に使い切っていた義母。贅沢がやめられず、夫に「お金が足りない」と泣きついたそうです。
しかし、仕送りが60万円もの大金になってもなお、夫は私に相談してくれなかったのです。そのことが何よりもショックで、私は夫に離婚を切り出しました。
「勝手に夫婦の貯金から仕送りするなんて、あまりにもひどすぎる」「そんな信用できない人と夫婦でなんかいられないわ」「勝手にお義母さんに渡していたお金は返してもらうからね」
「返せって言われても無理だよ!」「離婚は考え直してくれ!」と夫。「俺の給料だけじゃ、母さんを支えきれないだろ!?」と言われて、かすかに残っていた夫に対する情が消え失せました。
「そうね、あなたの会社は業績不振でボーナスも大幅カットされたばかり」「今じゃ私があなたの3倍以上稼いでいるものね」「でも、この私の稼ぎはお義母さんのためのものじゃないの」
その後――。
事情を知った義母から「離婚なんてダメよ!」「クルーズ船も高級エステも、ブランドショッピングも、これからは一緒に楽しみましょ!」と言われましたが、私は容赦なく夫に離婚を突き付けました。都合のいいATMに見られるのは勘弁です。
勝手に仕送りに充てられていたお金は、無事に返ってきました。元夫はいろんなところから借金をしたそうですが……。今、元義母と元夫は一緒に暮らしているようですが、義母の散財癖は直っていないようで何度か泣きついてきました。
義母のような華やかな生活に憧れがないといえば嘘になりますが、きっと私はすぐに飽きてしまうでしょう。だからこそ、私は大好きな読書にお金と時間を費やすことにしました。返ってきたお金を使って、興味のある本を片っ端から買い集めています。誰にも邪魔をされずに読書をする時間が、今の私にとって一番の幸せです。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。