「それは言ってはダメ!」娘にヒヤリ!
言葉が達者になって、いろいろな言葉を覚えたころ、娘は目についたものはなんでも言葉に出すので、ヒヤッとさせられていました。
髪の短い女性に「あの人男か女かわからないね!」と言ったかと思えば、髪が長い男性に「男なのに髪長いね」と言い……。これはまだ良いほうで、その方が気にしているであろう身体的特徴も、悪気なく口にしてしまいます。
いつもすぐに謝って、急いでその場を去るしかありません。幸い、トラブルになったことはありませんが、とても困っていました。
これまで一番気まずかったのはエレベーターの中でのこと。乗り合わせた人の身体的特徴を無邪気に娘が口にしてしまいました。私はすぐに謝りましたが、エレベーターの扉が開くまで、その場を立ち去ることはできません。苦く重い空気でした。
その時間が苦痛だったのは、言われた相手にとっても同じでしょう。そのときは、苦言を呈されることはありませんでしたが、「さらに嫌なことを口にされないか」と思わせてしまったり、相手が子どもだから怒れずにイライラさせてしまったりしたのではないかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
※このお話は、ベビーカレンダー公式インフルエンサー「ベビカレメイト」のママと実施した座談会でお話しいただいた体験談です。
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目に映るものに興味を持つのは素敵なことです。しかし、今回のようなケースでは相手に不快な思いをさせていることも否めません。親として、どのような対応をするのが良いのでしょう。
12年間保育士として勤務し、現在は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」などの部門に携わる、大学教授の小崎恭弘先生にお話をうかがいました。
見たままを口に出すのは好奇心?尊重すべき?
小崎先生「子どもの成長はとても早く、そして親の思い通りにならないものです。私は保育士をしていました。2歳児ぐらいから、初めて保育所に入ってくる子どもの保護者に、このようなことをよく言われたものです。
『保育所に行くようになってから子どもの言葉がとても汚くなりました。乱暴な言葉や言ってほしくない言葉を覚えてきて困ります』
これは事実です。子どもたちはたくさんの子どもやいろいろな大人との関わりが増える中で、急激に成長をしてさまざまなことを学び、それらを使い始めるようになります。しかしそれらのプロセスにおいては、多種多様なものが一度に子どもの中に入ってきてしまい、うまく取捨選択ができないのです。
2歳の子どもたちは言葉を覚えるとても良いタイミングです。言葉を覚えるということは、親から見て『良い言葉』と同時に『悪い言葉』も、同じレベルで覚えるのです。また子どもには『良い・悪い』の価値観は、また存在しません。全部を丸呑みするような感覚です。
子どもの『見たままを言葉にする』ということも、同じです。その意味づけを子ども自身ができていないのです。子どもたちは成長の過程で、周りの環境をすべて自分のものにしますが、そこには善悪の判断がありません。
これらができるようになるのは、もう少し後であり、そのためには子どもの中に『善悪ができる判断軸』が必要になります。そう考えると、今回のような親が困ったりヒヤッとする場面は、まさにそれらを伝えたり教えたりする絶好の機会と言えるでしょう。
『そんな言葉は使ってはいけないよ』『言いたいことを今は我慢するときだからね』
このようにお話をしたり経験を積んでいったりする中で、子ども自身の『善悪の判断軸』が少しずつ出来上がります。もちろんそのプロセスの中においては、不適切な表現や親が困ることもあります。しかしそれらの経験がないと、そのようなことを伝えたり教えたりするのは難しいでしょう。
子育てとは、生活の中にあることをすべて子どもに教える活動です。その中には、良くないことやダメなことも含まれています。親としてその難しさも、子どもと一緒に考えていきましょう。大きくなっても、その『善悪の軸』が立っていない人を見かけます。それこそ大きな問題なのです」
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子どもは好奇心の塊。そんな気持ちを考えると、注意すべきか迷った人もいることでしょう。しかし小崎先生のアドバイスによると、しっかり教えることが大切。少しずつでも「言ってはいけないこと」を教えていきたいですね。
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