ある日、サチが息子のユウを迎えに行くと、マイが「今週末ユウくんを沖縄旅行に一緒に連れて行っていい?」と聞いてきました。あ然としたサチは、「夫に聞いてから返事をする」と答えるにとどめました。
その夜、夫のアドバイスに従って断りのメッセージをマイに送ったサチ。その日のうちに既読はつきませんでした。しかし、翌日、不快感を隠そうともせず、「うちの子めっちゃ楽しみにしてたのに」「ちょっとお高いホテルを予約したのに」と言ってきたマイ。
なんとかその場を穏便に切り抜けようとしたサチに対し、マイは理不尽にもホテルのキャンセル料金をサチに要求してきたのです。
サチは「旦那に相談してみるって言った時点で、キャンセルの可能性はあったよね?」「確定前に予約したら、キャンセルの可能性があることくらいわかるでしょ?」と言いましたが、いまいちマイには伝わりませんでした。
それどころか、マイは「そんな話した覚えな~い」と白を切る始末。思わずサチが深いため息をつくと、マイは急にサチの機嫌をとるかのように「ごめんごめん、私変なこと言ってるよね?」「気にしないでね、ごめん!」と笑顔で謝ってきたのです。よくわからない展開に驚きつつも、とりあえず解決したと判断したサチ。
しかし、ユウの誕生日当日ー。背筋が凍る出来事が待っていたのでした――。
映画館で背筋が凍った瞬間
サチのため息を見て、ころっと態度を変えたマイ。「私めっちゃ変なことを言ってるよね?」「キャンセル料は今回はこっちでなんとかしちゃうから大丈夫!だからお金のことはいいよ」と言ったのです。
再び呆気に取られるサチ。マイにはできるだけ関わらないようにしようとあらためて強く思うのでした。
一刻も早くその場から離れようと、「買い物行かなきゃいけないから帰るね!」と言ったサチ。すると、マイは「サチちゃんパートで働いてるから、今から買い物か」「毎日大変ね~」とボソッと言って、サチを見下したように笑ったのです。
結局、その日一日イライラが続いてしまったサチ。お風呂上がりの夫に相談すると、夫も苦笑していました。
「サチは何も間違ってないんだから堂々としてな」「そもそもそんな面倒な人との付き合いをしなきゃいけないお迎えに毎日行ってくれてありがとう」
夫のやさしい言葉で、ようやくほぐれたサチの心。「俺も時間を作れたら代わりに行けるように仕事頑張るから」と言う夫と一緒に、明日からまたがんばろうと思えるようになったのでした。
そして、ユウの誕生日当日――。
夫のおかげで、ユウはトシとのお出かけのことを口にしなくなっていました。映画のチケットやおもちゃのプレゼントに、喜ぶユウ。サチは夫とユウが楽しそうに過ごしている姿を見ているだけで、幸せな気持ちになっていました。
しかし、そんな幸せな時間も長くは続きませんでした。ユウが「あっ、トシくんだ!」とサチの背後を見て声を上げたのです。
◇ ◇ ◇
愚痴や悩みを聞いてくれるだけでなく、日々の感謝の気持ちを伝えてくれたサチの旦那さん。毎日の送り迎えを当たり前と思わず、苦労も理解してお礼を言ってくれるなんて、とても素敵ですね。夫婦間だからこそ、伝わっているだろうと思い込まず、言葉にして伝え合うことが大事なのかもしれませんね。