結婚相手を探すワガママ御曹司
入社直後から偉そうに重役出勤してくる御曹司のA男。私が会議資料のコピーを頼んでも、「ヒマなやつに頼めよ!」と拒否します。社員はみんな平等というのがモットーのわが社。教育係を命じられた私としては、扱いに困ってしまいました。
何を言っても「俺は花嫁探しで忙しい」と軽口を叩くA男。女性社員たちも最初は彼に注目していましたが、見た目や年齢で女性を仕分けする高飛車な言動に、今ではみんな嫌気がさしている様子です。
車内の雰囲気も悪くなり始めたので、私は思い切って、彼の振る舞いについて社長に直訴。しかし、社長は「息子は頑張っている」と擁護し、私はもう呆れるしかありませんでした。
私に言い寄るように…
ある日のお昼休み、A男は「この会社にはロクな花嫁候補がいない」と社食で愚痴り始めました。「俺は未来の社長だぞ!」と強調して周囲の関心を引こうとしましたが、誰も近づく者はいません。
するとA男は、お弁当を持参していた私に目をつけ、「貧乏だから弁当で節約しているんだろ?」と見当違いな同情をしてきました。挙句の果てに、「俺が付き合ってやろうか? 生活費は全部出してやるよ」と言ってきたのです。
私には、仕事関係で出会ったとある企業の社長を務める彼氏もいるため、その場では丁重にお断り。しかし、断ったことで逆にスイッチが入ってしまったのか、私はA男から連日「付き合おうぜ~!」としつこく言い寄られることになってしまい……。
実は私のお祖父ちゃんは!?
そんなさなか、わが社が重要な大型案件を引き受けることが決定し、私はそのプロジェクトの担当者に選ばれたのです。数日後、取引先の代表者たちが来社するため、私はA男と一緒にその準備をしていました。
A男の父親である社長が準備中の私たちの様子を見に来ると、A男はいつもの調子で軽口を叩き始めます。
「俺に任せておけばこの案件も大成功。あんたはただニコニコ笑っていればいいよ。将来俺の嫁になったら、貧乏女子から玉の輿だぜ。仕事に燃える女なんて婚期を逃すだけ。父さんもそう思う……」
そのときです。秘書に案内されて、わが社の会長と取引先の代表者が会議室にやって来たのです! 会長は顔をしかめてA男に言いました。
「そこの君は、私の孫を女性だからと蔑視し、無理やり結婚を迫るような発言をしていたようだが?」
そう、わが社の会長は私のお祖父ちゃんなのです。私は名字が違う外孫で、あえて大っぴらにすることもないので社内でも数人しか知らないのですが、どうやら社長も知らなかったよう。
慌てる社長とA男
「お祖父ちゃん、私にだけじゃないの。彼は、自分が社長の息子だからと仕事を覚えようともせず、女性社員たちに片っ端から『嫁になれ』『付き合おう』と言い寄っていて……。社長に言っても甘やかすばかり」
社長とA男はようやく事態を理解した様子。
「え? 会長がお祖父ちゃん?」
「いや、お、俺は、ちょっとふざけただけで……」
私ははっきりと伝えました。
「彼の言動には、女子社員全員が本当に迷惑を被っています」
「こんな御曹司を野放しにしておいて、重大なプロジェクトを遂行できるのか」と苦言を呈する祖父。社長は慌てて平身低頭し、息子をプロジェクトから外し、別の支店で根性を叩き直すと宣言したのでした。
ひと安心する女性社員たち
こうしてA男は別の支店へ転勤。そこでゼロから、人としてのふるまいと社会人としての仕事の取り組み方を学ばせるそうです。
私はと言えば、プロジェクトを無事に成功させることができ、別の案件も任されて充実した毎日を送っています。A男が去った職場は以前よりもはるかに快適で、女子社員たちもほっとひと安心。仕事がスムーズに進むようになりました!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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