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赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

「RSウイルス感染症」という病気を知っていますか? 生後6カ月未満の赤ちゃんがかかると重症化する恐れがあり、入院する子も少なくありません。ウイルスに対する治療薬はないため、症状をやわらげるための対症療法がおこなわれます。これまで予防法は限られていましたが、24年6月から妊娠後期のプレママを対象とした「RSウイルスワクチン」の接種がスタートし、赤ちゃんへの予防が期待されています。宋美玄先生が詳しく解説します。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師宋 美玄

産婦人科医、医学博士、FMF認定超音波医、日本産科婦人科遺伝診療学会認定医。2001年大阪大学医学部医学科卒業。大学卒業後、大阪大学医学部附属病院、りんくう総合医療センターなどを経て川崎医科大学講師就任。2009年ロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学。胎児超音波の研鑽を積む。2015年川崎医科大学医学研究科博士課程卒業。2017年丸の内の森レディースクリニックを開業。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会設立代表理事。2024年医療法人社団ベラフォレスタを設立。周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、インターネット、雑誌、書籍で情報発信を行う。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的とし活動中。
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「RSウイルス感染症」とはどんな病気?

ベビーカレンダー会員のママたちに「RSウイルス感染症」についてアンケートをとりました。※会員ママ1223人が回答

 

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

<データ解説>

RSウイルス感染症について半数以上の人が「よく知らない」「まったく知らない」と回答。そのうえで約9割が「とても脅威に感じる」「やや脅威に感じる」と答え、ほとんどのママが赤ちゃんにとって怖い病気であるとの認識を持っていました。

 

生後6カ月未満は重症化に注意

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

「RSウイルス​」は呼吸器系の感染症で、4~5日の潜伏期間のあと、咳(せき)、鼻水、発熱などの症状が出ます。感染が広がりやすく、くしゃみや咳などの飛沫(ひまつ)感染、ウイルスの付着したものを触ることによる接触感染でうつり、2歳までにほぼ全員の子がかかるといわれています。初めての感染、とくに生後6か月未満の赤ちゃんは重症化することもあるので注意が必要です。

 

重症化すると気管支炎、肺炎などの下気道炎を引き起こし、その後、ぜん息を発症する恐れがあることも報告されています。さらに無呼吸発作、急性脳症など重篤な合併症があることも見逃せません。生後1カ月未満で感染した場合は、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。

 

日本では、毎年約12~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、約4分の1(約3万人)が入院を必要とすると推定されています(※)。なお免疫ができても感染・発症を繰り返すのが特徴で、大人でもかかるため、家族から赤ちゃんに感染させてしまうケースもあります。(宋美玄先生)

 

※Kobayashi Y, Togo K, Agosti Y, et al.Epidemiology of respiratory syncytial virus in Japan:

   A nationwide claims database analysis

   Pediatr Int. 2022 Jan;64(1):e14957.

 

「RSウイルス感染症」を予防するには?

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

<データ解説>

RSウイルス感染症の予防法として、手洗い・うがいをおこなっている人が多数。さらにその予防効果について聞いてみると「防ぎきれない」との声が多くあがりました。

 

「RSウイルス感染症」の予防方法は?

RSウイルス感染症の予防方法は、これまで2つありました。1つは家庭内感染予防になります。家族みんなで手洗いうがい、消毒をおこない、流行期は、大人はマスクを着用する、風邪っぽいときは赤ちゃんに近づかず、感染した場合は赤ちゃんから隔離する、きょうだいがかかった場合はスプーンやおもちゃは共有しないといったことです。コロナの感染対策のときと同じと考えていいでしょう。

 

もう1つは赤ちゃんに予防薬を投与する方法です。ただし保険適用が認められているのは、早産児や先天性の心疾患があるなど重症化リスクのある赤ちゃん。基礎疾患がない場合は自己負担での投与となり、数十万円と高額な費用がかかります。

 

このほか、新しい予防法として今年登場したのが「RSウイルスワクチン」。プレママが妊娠後期に接種することで、ママの胎盤を通して赤ちゃんに免疫を与えることができます。詳しくは次章で紹介します。(宋美玄先生)

 

「RSウイルスワクチン」は赤ちゃんへの免疫のプレゼント

 

接種時期は?

RSウイルスワクチン妊娠24週から36週に接種できます。ママが接種することで、RSウイルスの抗体を赤ちゃんに与え、生まれたあとにRSウイルス感染症の発症、重症化を予防することが期待できます。私はこのワクチンを「ママから赤ちゃんへの免疫のプレゼント」と言っています。

 

予防効果は接種後2週間以降に発揮します。RSウイルス感染症は新生児でもかかりますから、赤ちゃんが早く生まれることを見越して、30~32週の接種をおすすめしています。(宋美玄先生)

 

回数・費用は?

RSウイルスワクチン接種回数は1回です。費用は自己負担で病院によりますが、私の病院では税込み3万6500円としています。

 

RSウイルス感染症は治療薬がなく、重症化しても症状をやわらげる対症療法をおこなうことしかできません。赤ちゃんが病気で苦しい思いをしているのを見ているのは、ママ・パパにとってもつらいことです。以前、院内でアンケートをしてみたところ、接種に訪れるプレママの65%が出産経験のある方でした。「上の子がRSウイルス感染症にかかって大変だったから」という理由がよく聞かれます。

 

RSウイルス感染症は、重症化する可能性のある乳児期にかかるのを、避けられるなら避けたい病気です。その予防法として、「RSウイルスワクチン」を検討する価値はあると思います。(宋美玄先生)

 

生後6カ月未満は重症化に注意

赤ちゃんを守るための新しい選択肢!妊娠中に接種する「RSウイルスワクチン」とは【宋美玄先生解説】

 

コロナ禍以降、感染症の流行時期も定まらなくなってきたといわれています。いつどこでどんな病気が流行るのか読みにくい昨今、新たな予防策として、ママたちもRSウイルスワクチンに注目しています。

 

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