え!?そんなこと言うんですか!?
娘を自転車に乗せたのが初めてだったこともあり、私はとても慎重に運転していました。しばらく自転車を走らせていると、向かいから歩いて来るすれ違う人々から、じろじろと見られているような気がしてきたのです。
私は「運転が下手で、子どもを乗せていることを心配されてる?」と思い、より慎重に、安全に配慮して運転しました。ハンドルを握る手にも肩にも力が入って、変な姿だったかもしれません……。
すると、強面の男性がすれ違いざまに「おい、待て!」と、声を掛けられたのです。低く大きな声で呼び止められ、びっくりしながら振り返ると「お母さん、待って、待って!」と、こちらに走って来ていました。よく見ると、男性の手には娘の靴が! 脱げて落としてしまった娘の靴を拾って追いかけてきてくれたのです。怖そうな見た目とは裏腹に男性は、「元気なあんよの赤ちゃんでちゅね〜」と、やさしく笑いながら、娘に靴を履かせてくれて颯爽と去っていきました。
私はてっきり、自分の運転が危なそうでじろじろ見られていると思っていたのですが、娘の靴が脱げそうだったことを、すれ違ういろいろな人が心配して見ていてくれたんだとわかり、肩に力を入れて前のめりで運転していた自分が急に恥ずかしくなりました。娘に靴を履かせてくれた男性に限らず、たくさんの人のあたたかさに触れた出来事でした。
著者:山田 あかり/30代・女性・保育士。姉弟の母。パート勤務。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年11月)
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