「俺は仕事で疲れている」「俺には無理」「お前がやったほうが早いだろ」そう言って、家事も育児も拒む夫に何度も失望し、本気で離婚を考えたこともありました。しかし、いつか改心してくれるのではないかという淡い期待を抱き、耐え忍んできました。
突然、義両親と同居することに
そんなある日、夫が「話がある」と切り出しました。義父が体調を崩し、サポートが必要なので、義両親を私たちの家に迎え入れ同居したいと言うのです。
突然の提案に、私は困惑しました。義両親とのほどよい距離感が心地よかった私にとって、それは大きな変化を伴う決断でした。しかし、夫の意志は固く、「嫌なら離婚するから」と言われ、同居が決まったのです。
義両親は車で1時間ほどの場所に住んでおり、定年後は静かな暮らしを楽しんでいました。義両親との交流は、年末年始や長期休暇の際に子どもたちを連れて遊びに行く程度。
義両親と同居して、うまくやっていけるのか――。その不安は尽きませんでした。特に、ただでさえ現状いっぱいいっぱいなのに、家事や義両親のお世話の負担が増えるのではと心配でした。
思わぬ救世主
不安いっぱいで迎えた同居開始翌日、朝早く目が覚めた私は驚きました。義母が洗濯を、義父が子どもたちの着替えを手伝ってくれているではありませんか。
「お義母さん、ありがとうございます!」
私が感謝を伝えると、義母はにっこり笑いながら「家族だからね」と答えました。義父も「当たり前のことだよ」とやさしく声をかけてくれました。
一方、いつも通り昼前に起きてきて早々、スマホをいじりだした夫には、義両親の怒りの雷が落ちました。
「いい加減、家族のために動きなさい!」
義両親は夫に家事や育児を叩き込むと申し出てくれたのです。
夫の変化と新しい日々
夫は仕事から帰るとすぐに、義父母から家事や育児の指導を受けました。最初は渋々取り組んでいましたが、次第に真剣な表情で学ぶようになり、家事は一通りできるようになりました。また、子どもたちとの関りが増えたことで子どもたちがようやく懐き、かわいがったりお世話を積極的にしてくれるように。
「今まで大変だったよな。本当にごめん」
そう言って夫が謝ったとき、私は思わず涙をこぼしました。義両親は夫の変化を見届けると「近くに良い物件を見つけたから」と言い、近くのバリアフリー対応マンションに引っ越し、今では時々遊びに来てくれるようになりました。
義両親のおかげで、離婚せずにすんで本当に感謝しています。今では夫と子どもたちと一緒に、忙しくも楽しい日々を送っています。これからも、家族で支え合いながら暮らしていく未来が楽しみです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。