パニ子は33歳の専業主婦。夫ミノルの希望で専業主婦になり、家事や息子ハルトのお世話で忙しい毎日を送っています。なんでそんなに忙しいのかって? それはミノルが家事育児を一切手伝わないからなのです。
家事も育児もしないダメ夫
家にいるのにスマホばかり見て、ハルトのお世話も家事もしないミノル。
「ハルトのこと少しの間見ていてほしいんだけど」と頼んでも、嫌そうな顔をして動きません。
専業主婦のパニ子は、休日だからといって休むことはできません。
ハルトと遊んでくれれば掃除が捗るものの、
「普段からマメに掃除してないからだろ? 俺の手を借りなきゃ掃除すらできないのか」と嫌味をいいます。
言い争いになるのは面倒なので、いつもはグッと堪えるのですが、このままではハルトの教育にも良くありません。
「育児と家事は専業主婦の仕事だろ!」もう我慢の限界!
意を決して、ミノルと話し合いをすることにしたパニ子。
家事をもっと手伝ってほしいこと、ハルトと遊んでほしいこと、嫌味な態度は改めてほしいことを伝えます。
しかし、パニ子の申し出に烈火のように怒り出したミノル。
「育児と家事は専業主婦の仕事だろ? 自分でやるのが当たり前なのに、手伝ってって何様だよ!」
イライラする気持ちを抑えながらなるべく冷静に話すも、ミノルの怒りはおさまらない様子。
「俺の稼ぎにぶら下がってるだけのくせに、俺に意見するな!」
これには我慢の限界。
「子育てもできない、家事もできない、夫としての役割もできない、ただ毎日私のお世話にぶら下がってるだけのくせに!」
パニ子は言い返しました。
「俺にそんな口きいたこと、絶対後悔するからな! 俺、ハズレ嫁引いちゃったわ!!」
いつもの嫌味をいって、話し合いになりません。
なにをいっても態度を改めないミノルにパニ子もうんざり。
諦めかけたある日、事件は起こります。
夫が火事に遭って病院に搬送!?
ある日、警察からの電話を受けたパニ子。
なんとミノルが火事に遭って、病院に搬送されたという連絡でした。
急いで病院に向かうと、ミノルはぐったりとした様子で寝ていました。
「命に別状がなくてよかった! 職場は大丈夫だった?」
ほっとした途端、隣のベッドが目に入ります。
「隣の人も会社の人? 私うるさくしてしまったし、挨拶しておかなくちゃ」
ミノルは会社で火事に遭ったのだと思っていたパニ子。
隣のベッドを覗き込んだそのとき、まさかの展開に凍りつきます。
隣のベッドで寝ていたのは……
「隣はいい! 放っておけ!」
急に怒鳴り声をあげたミノルを訝しげに思いながらも隣のベッドをよく見ると、パニ子の妹、ユキナの姿。
「仕事先での火事だっていってたよね? どうしてユキナがいるのよ!」
ミノルを問い詰めます。
「えっと……たまたま仕事が一緒になってさ!」
「そ、そう! 取引先の相手がたまたまミノルさんだったのよ!」
どう考えてもおかしい! そう思ったとき、病室のドアが開き、パニ子とユキナの母、パニ母は入ってきたのです。
なんでも欲しがる妹の行く末にニヤリ
「ユキナの家が火事になって、病院に運ばれたって言うから駆けつけたんだけど……」
「え? ユキナの家?!」
そうやらミノルは、仕事と嘘をついてユキナの家に行っていたようです。
「ごめん。言い寄られてつい……」
「だってミノルさんかっこいいし、お姉ちゃんより私のほうがお似合いだと思ったんだもん!」
小さいころから、パニ子が持っているものはなんでも欲しがっていたユキナ。
まさかの姉の夫まで欲しがったとは、パニ子もパニ母も呆れて怒る気にもなれません。
「もういい、帰ろう! ミノルはユキナにあげるから」
ずっと欲しかったミノルが自分のものになり嬉しそうなユキナ。
もちろんパニ子に未練はありません。
だってミノルは家事も育児も手伝わないモラハラ男。これからユキナが苦しむと思うと、笑みがあふれるパニ子だったのでした。
それにしても、たまたま隠れて会っているときに火事に遭うなんて、なんという不運。やはり悪いことをするとバチが当たるというのは本当かもしれませんね。