第3号被保険者制度は時代にあっていない?
主婦年金とは、国民年金の「第3号被保険者制度」のことを指します。第3号被保険者とは「会社員などに扶養されている人の、健康保険の被保険者資格のこと」。「収入が少ない人」「収入がない人」でも加入できる健康保険であり、配偶者の収入が一定額以下であれば、保険料を支払う必要はありません。
そう聞くと、収入が少ない・収入がないのにズルい! と感じる人もいることでしょう。しかし仕事をしないのは、子育てはもちろん、介護、自身の病気など、さまざまな理由が伴うケースがあります。
しかしどんな事情があっても、この制度が不公平である、という意見ももっともです。この制度ができた1985年は、男性が外で仕事をし女性が家で家事や子育てを担当するというのが一般的で、現在議論されるほどの不公平さはありませんでした。
対して、共働きが増え、当たり前になりつつある今、第3号被保険者制度は時代錯誤である、とSNSでもたくさんの人が声をあげるようになりました。
夫婦がフルで働く時代、子育ては成り立つのか?
その一方で「見送りになってホッとした」という声や「夫婦がフルで仕事をしたら、子育ては成り立つのか?」という意見も多数挙がっており、それに同意する投稿もたくさん目にします。
この視点は、主婦年金の廃止を決めるにあたり、目をつぶってほしくない点です。公平であることは大切ですが、主婦年金の廃止が少子化を加速させないかは、見落としてほしくないのです。
子育てはとてもパワーが必要で、数々のイレギュラーに対応しなければならないもの。仕事との両立は簡単なものでなく、たくさんの人の助けが必要になるでしょう。
共働きが増えると同時に保育園への入園が困難になったり、核家族化や定年後も働くシニアが増えたことで頼れる人がまわりにいなかったりし、近年の子育て環境はシビアになっていると考えられます。また、夫仕事の都合上ワンオペせざるを得ない人、見守りが必要な子どもを育てている人などさまざまな状況に置かれている人もいます。
主婦年金を廃止するのであれば、頼る人や場所がなく専業主婦にならざるを得ない人たち・子どもから目を離すことができない人たちなどが安心して働ける世の中を作ることも、同時におこなう必要があるでしょう。
5年後に再びやってくる年金制度改革。どうか、子育てしにくい世の中を加速させることがないよう願うばかりです。ベビーカレンダー編集部でも引き続き発信を続けたいと思っています。