現在の出産費用制度とその課題
2025年5月現在、日本では帝王切開などを除く自然分娩は健康保険の適用外となっており、出産費用は原則自己負担です。これに対し「出産育児一時金」として一律50万円が支給される制度がありますが、分娩費用の全国平均はそれをやや上回ることも多く、実質的に数万円〜10数万円程度の自己負担が生じるケースも少なくありません。
また「出産育児一時金」の金額をあげても、それに伴い出産費用も値上げとなり、自己負担額が変わらないことも課題となっていました。
出産費用無償化で期待されるのは……?
2024年の日本の出生数は72万988人(※)。統計を取り始めた1899年以来、過去最少となりました。
出産費用の無償化を通じて、経済的理由で出産を躊躇する家庭を支援し、出生率の向上を図ることが期待できます。また、出産費用の地域差を是正し、どの地域に住んでいても安心して出産できる環境を整備することも狙いであることが考えられます。
※厚生労働省 人口動態統計速報値
厚生労働省は、出産費用の保険適用も視野に入れつつ具体的な制度設計を進める方針です。誰もが安心して出産できる社会をどう実現するか、制度設計の行方に注目が集まります。
ベビーカレンダー編集部でも、出産無償化に関する続報を引き続き気にかけていきたいと思います。また、この政策によって誰もが安心して赤ちゃんを産み、育てる社会に近づくことを願います。