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「ばあばの顔、おばけみたい」顔の右半分が下垂した母を見て子どもが放った言葉。母を襲った病の正体は

50歳の節目を迎えた母に起こった悲劇の話です。ある日、顔の右半分が下垂してしまった母。孫に「ばあばの顔、おばけみたい」と言われた母を襲った病とは? 孫との楽しい生活を取り戻すべく奮闘した母の体験談です。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師高島雅之先生

日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2006年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。『宇都宮睡眠呼吸センター』を併設し睡眠医療にも携わる。
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突然襲った顔の異変

私の母は、看護師長として病院で働いています。当時、新型コロナの影響で母の働いている病院も多忙でした。徐々に落ち着いてきたころ、母の体に異変が。目の閉じづらさや、お茶の飲みづらさを感じるように。ふと鏡を見ると、顔の右半分が下がっているような気がしたようです。

 

ちょうど母が50歳の誕生日を迎えた日、妹が自分の娘を連れて実家へ。母に会うことを楽しみしていた妹の娘ですが、母を見ると「ばあばの顔おばけみたい! 怖いよ、こっちに来ないで」と泣きながら妹の元へ。妹が母を見ると、右半分の顔が下垂していました。

 

その後、右の口元よりお茶がダラダラと流れうまく飲み込むことができなくなり、母は「麻痺(まひ)!? さすがにおかしい」と思い、勤務する病院の先生へ相談。症状が現れて1週間程度が経過し、右目や口元の下垂が強くなっており、医師より「顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)の可能性がある。神経内科の先生に相談しよう」と言われ、専門医を受診することになりました。

 

顔面神経麻痺の診断。症状はなかなか回復せず

神経内科での検査の結果、やはり「顔面神経麻痺」との診断が下ります。顔面神経麻痺とは顔の筋肉が動かしにくくなる病気で、母の場合、帯状疱疹ウイルスが原因で発症したようです。

 

医師からは入院して点滴加療を勧められるも、母は仕事が多忙だったこともありステロイドと抗ウイルス剤を使用した内服治療を選択。しかし、1週間ほど薬を飲んでも症状はなかなか良くならなかったようです

 

母が再度神経内科を受診すると、「重度の顔面神経麻痺」と診断されました。手術の可能性も示唆され、耳鼻科への診察を勧められました。耳鼻科での検査と診察の結果によっては、手術が必要となるとのことでした。

 

顔面神経麻痺は、発症から治療開始までが早いほど改善の見込みが高くなるといわれているそうです。母は仕事が忙しかったことで、症状が現れて1週間たってからの受診となり治療開始が遅れたことや、仕事を優先して内服治療を選択したことなどで、十分な治療の成果を得られず、その結果が重度の顔面神経麻痺につながったようでした。

 

母は「手術するのは怖いけど、早く元の顔に戻って、また孫たちと一緒に遊びたい。職場に迷惑をかけてしまうけど、早く治さないとね」と手術を受けることを決断。その後、手術をおこないました。

 

手術を終え2日後、母は手術を無事に終え自宅へ。母は「やっといつもの生活に戻れる。顔の半分が麻痺して不便だったし、孫から怖いなんて言われてショックだったから手術受けてよかったよ」と喜んでいました。

 

 

一筋の希望が!家族に支えられ治療を続けた母

しかし、手術を受けてしばらくたったある日、母から「手術をしてもまだ顔が元に戻らない……。それどころか手術前よりひどくて、食べ物も右じゃかめない」と状態が悪くなっていると泣きながら電話がありました! 私はすぐに母の元へ向かいました。

 

母は「この顔じゃ孫にも会えない。仕事も辞めないといけない」と、これまで見たことがないほど弱気な姿に……。私は再度病院を受診するよう母に言いました。

 

次の日、私は母と一緒に病院へ行き状況を伝えました。すると医師より「今回の手術は、炎症によって腫れた神経の圧迫を取り、直接薬を散布したので効き目が出るまでに時間がかかります。見た目に関しては、時間の経過と共に回復も見込まれますが、形成手術をおこなう方法もあります」との説明がありました。

 

見た目が気になっていた母は「形成手術で、この引き下がった目や口元は元に戻りますか」と医師に尋ね、「現在の状態よりは見た目もよくなりますよ」と回答をもらえたことで、ホッと胸をなで下ろしました。

 

そして一刻も早く治したかった母は、形成手術を希望。母のモチベーションを上げるため、妹は手術の日まで娘たちの動画を母へ送りました。「ばあば、手術頑張ってね。早く一緒に遊ぼうね」という元気いっぱいな孫たちの動画をお守りに、診察から1週間後、母は形成手術を受けることに。

 

その後、手術が無事に成功したとの連絡を受け、私と妹家族は母に会いに行きました。垂れ下がっていた顔は元の状態にかなり近いところまで戻っています。そして、孫との再会。「ばあば会いたかったよ。お顔かわいくなったね」と孫からうれしい言葉をもらい、母は喜びの涙を流していました。母は仕事にも復帰し、顔の神経も徐々に回復。術後、リハビリに励み、今では顔の違和感もだいぶなくなり、いつもの日常を取り戻しています。

 

まとめ

ちょっとした顔の違和感から、2度の手術を受けることになった母。今回の件で、母は体を大事にすることの大切さを実感。そして、少しでも違和感を覚えたり、治りにくいと思ったりしたときは、早く周りの人にも相談してみるべきだと学んだそうです。

 

そして何よりも、家族の存在が治療にくじけそうになったときにこんなにも影響を与えるのだと母をはじめ、私や妹も痛感しました。自分の体を大切にすること、そして家族の存在についても改めて考え直すことができた出来事でした。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

著者:肥後 なな/30代ライター。10年近く看護師として働き、2022年生まれの娘を育てるママ。シュナウザーが大好きで念願のわんちゃんとの生活も楽しんでいる。ママの影響で娘も動物が大好き。

イラスト/ほや助

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年11月)

 

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