わが家は、両親と弟と私の4人家族。弟は成績優秀で、跡取りとして期待されて育ってきました。
その一方私は、両親から何の期待もされることなく育ってきました。勉強も部活も頑張りましたが、決してほめられることはありませんでした。家では邪魔者あつかいされ、私がすることにはすべて難癖をつけられ、つらい思い出しかありません。そんな私のことを、いつも弟はかばい、慰めてくれました。
あっさりとした反応をする両親の真意は?
大学に受かり上京した私。特待生として進学したため学費は免除されていました。卒業後は希望の会社へ就職し、ひとり暮らしをして自立した生活を送っています。
結婚が決まったとき、真っ先に頭に浮かんだのは両親のことでした。結婚についても何か言ってくると思ったのですが、意外な反応をされたのです。電話で結婚の報告をすると、あっさりと「自分の好きなようにしなさい」と言われました。跡継ぎでもない私のことにはまるで興味がないので、文句すら出てこなかったようです。結婚のあいさつも来なくていいと言われました。
ある程度は覚悟していましたが、ここまでだとは予想していませんでした。隣で電話の内容を聞いていた彼も、あきれていました。しかし、関心がないということは、結婚式を荒らされることもないということ。それがわかり少しホッとしましたが、やはり当日まで何があるかわからないので不安は消えません。
そして、いよいよ当日を迎えたのです。親族控え室には、彼の両親と私の弟がいましたが、私の両親の姿は見当たりませんでした。和やかな雰囲気の控え室で、みんな笑顔で私たちの晴れ姿を褒めてくれました。
彼のご両親は、あいさつに伺ったときから私にとても好意的でした。それからというもの、会えばいつもあたたかく迎えてくれ、実の娘のようにかわいがってくれます。
両親のあまりにもバカにした態度に…
そんな和やかな空気の中、突然私のスマホが鳴りました。母からでした。電話口でうれしそうにはしゃぐ両親たちは今、空港にいるそうです。私は跡継ぎでもないし、旅行のほうが優先順位が高いと言い、式への欠席を伝えてきました。
そもそも出る気なんてなかったのではないかと思わせるような軽い口ぶり。スピーカーにして話していたので、私と両親の会話を聞いた、彼や彼の両親、私の弟は怒りの表情を浮かべています。
その後も両親は、ひどい発言を連発。跡取りの弟には最後まで面倒を見てもらうつもりだと言い、嫁に行く私とはこれで縁を切ると……。そう言われて、両親の気持ちがはっきりと分かりました。
私に今までしてきた仕打ち、そして今日という晴れの日にこんな非常識な電話。「後悔すればいい」そう私が反発すると、両親はバカにしたように笑い、自分たちには二度とすがるなと吐き捨て、電話を切られてしまいました。
どれだけ冷たくされても、どこか期待していましたが、ここまでされたら私もあきらめがつきます。両親のことをようやく吹っ切ることができた私は、目一杯、結婚式を楽しみました。ものすごく幸せな時間でした。
そして、式から1週間が経ち、予想通りの展開に。両親から、何度も立て続けに着信が入りました。無視していましたが、あまりにしつこいので電話に出ると、泣き叫んでいるかのような声で、何で教えてくれなかったのかと言う両親。
非常識な両親の振る舞いに激怒したのは?
実は夫となった彼は、父が経営する会社の取引先の息子だったのです。両親は私に彼のことを話す機会も与えてくれなかったので、何で教えてくれなかったのかと言われても……。
両親の非常識な振る舞いに激怒した義父は、父の会社との取引をすぐさま中止したのです。そして、その話がその他の関係企業にも伝わり、次々に取引先を失い、大損することになった父。理由を知り、私に「どうしてくれるんだ」と怒りをぶつけてきます。
事態を把握し、電話を代わった夫は、取引を再開する予定はないと明言。それにそちらから縁を切ると言ったのだから、今後一切連絡をしてこないでほしいとも伝えてくれました。
結局、その後すぐに父の会社は倒産。お金に困った両親は、弟の職場にまで押しかけたそうです。その一件から、弟も両親と縁を切ることにしたと言っていました。
私は今、夫と義理の両親と幸せな毎日を過ごしています。両親に苦しめられていた日なんて、あっという間に忘れてしまいそうです。
◇ ◇ ◇
実の両親から十分に愛情を受け取れず、つらい幼少期を過ごしたことでしょう。すてきな彼とそのご両親に恵まれて本当に良かったです。つらい家族の思い出を、幸せな家族の思い出に塗りかえて、新しい家族と仲良く暮らしてほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。