聞き覚えのある名前が……
テレビから流れてきたニュースの内容は、「……粉飾決算の疑いで」、「……A会社社長」、「……逮捕」というもの。耳にした社名は、なんと数年前に私が勤めていた会社でした。
「え……」と、思わず声が漏れました。血の気が引くような感覚です。まるで、現実のことではないように感じました。アナウンサーは淡々と原稿を読み上げ、容疑者の名前を告げていきます。その中には、副社長の名前、そして会計を担当していた、事務のBさんの名前もありました。「おい、おい、おい……」。同時に、Bさんの顔が脳裏に浮かびました。その後の天気予報は、まったく耳に入りませんでした。
あのまま働き続けていたら
あの会社で一緒に働いていた人たちの顔が、走馬灯のように駆け巡ります。あのとき、あんなに忙しかったのは、景気が良かったからではなかったのか……。
あとから聞いた話では、経営状態はずっと悪かったらしいのです。あのまま働き続けていたら、私もどうなっていたか……想像するだけでおそろしくなります。
寝付けずに朝を迎える
その日は、なかなか寝付けませんでした。翌日の新聞のローカル欄には、さらに詳しい記事が載っていました。
そして、その会社は倒産……。あの会社での日々は、忙しさの中で充実感もあったように思っていました。でも、それは粉飾された現実の上に成り立っていたのかもしれません。
まとめ
今、あのときのことを思い出すと、複雑な気持ちになります。まさか、自分が働いていた会社が、そんなことになるとは……。あのニュースは、私にとって現実の脆さと、予測不能な未来への不安を突きつける出来事でした。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:弓野誠二/50代男性・会社員。
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年12月)
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