「本当に彼氏いたんだ~!見栄張って周りに合わせてたのかと思ってた~!」といきなり失礼な発言を繰り出した親友。私が彼のことを話すと、「この前うちの会社と合同でやったプロジェクトで同じチームだったわよ!」「それより前の意見交換会でも会ってたし!」と言い出しました。
そして、「へぇ~……彼ならもっとレベル高い女狙えたのに、私含めて、ね」「もしかして、高級ディナーに飽きちゃってジャンクフード求めちゃった感じかしら?」と明らかに私を見下してきたのです。
嫌な気持ちになりながらも、私は「住所変わってないよね?招待状送るね」と言いました。すると、「大丈夫よ、今度の意見交換会で彼から直接もらうわ!」「切手代とかもったいないでしょ?」と親友。私はその言葉に甘えることにしたのです。
怠惰な彼氏
1カ月後――。
結婚に先立ち、私たちは同棲を翌日に控えていました。私が荷造りの最終チェックをしていると、彼から「明日の引っ越しなんだけど、時間変更ってできたっけ?」と連絡が。
何か問題でも起きたのかと尋ねると、「いや~……実は全然荷造りできてなくてさ」と部屋の写真が送られてきました。段ボールは畳まれたまま置かれていて、荷物は1個もできていない状態でした……。
「いろいろ忙しくて後回しにしてたからさぁ」「ってか、結婚するって言ったら、『独身最後に遊びに行くぞ!』って連れまわされちゃって」と言う彼に、私はため息をつきました。ついこの間も仕事と嘘をついて、結婚式の打ち合わせをドタキャンし、遊びまわっていたのです。
「今のうちだけだから!みんなもそろそろ飽きて落ち着くだろうし」と楽観する彼に、私は「遊ぶのは構わないけど、優先順位はしっかりしてよ」と釘を刺しておきました。
「そういえば」と話を変えた彼。「お前の親友、結婚式に来るんだろ?スピーチとかお願いしたらどう?」と、言い出したのです。
もともと、余興やスピーチを省いて、招待客の負担を減らせるような式を予定していた私たち。彼もそれに同意してくれたはずなのに……。
「でも、共通の友人なわけだし、スピーチ1人くらい入れようよ!」「俺の友人代表、お前の友人代表ってするよりもずっといいだろうし」と説得され、私はしぶしぶうなずきました。
「じゃあ、スピーチお願いできないか聞いてみるね」と言った私を制し、彼は「いいのいいの、どうせ意見交換会で会うしさ」「俺から直接お願いしてみるよ!」と言ったのでした。
そして、親友もスピーチを快諾。楽しみなはずの結婚式なのに、なぜか私の胸からはもやもやが消えてくれませんでした。
ドタキャンされた結婚式
3カ月後、結婚式当日――。
結局、心のもやもやが消えないまま結婚式当日を迎えた私。私の心を反映したかのように、空はあいにくの雨。一日中降り続くそうです。
ぼーっと空を見上げていると、親友から突然メッセージが届きました。
「私、あなたの結婚式行けなくなったから」
「実は今あなたの新郎と駆け落ち中なの♡彼、私に夢中なんだもん。ごめんねw」
「やったー!ありがとう!」
「は?」
親友は「私たちはこのまま駆け落ちして、ハワイで2人だけのウェディングをして幸せになるのよ!?」「どうしてそんなに冷静なの!?」と戸惑っている様子。
「冷静っていうよりか、うれしすぎて興奮してるのを必死に抑え込んでる感じ?」と言うと、「えぇ~」と若干引き気味の親友。略奪されて、私がおかしくなってしまったと感じたのかもしれません。
「婚約したころから、彼の様子がおかしいと思って調べたら……あなたたち真っ黒なんだもの」「最初はショックだったけど、婚約破棄の理由になるって気づいてからはうれしくてうれしくて!」「同棲してから毎日『別れたい』って思ってたのに、全然別れてくれなくて困ってたの」
同棲のための引っ越しの際も、結局私が彼の家に行ってすべて荷造りを終わらせたのです。新居で段ボールを開封するときも、「あの服とこの服を一緒に入れるな」など、口だけ出して手は一切動かさなかった彼。お礼は一言もありませんでした。
家事分担も決めておいたのに、彼は初日で放棄。結局私が全部家事をすることになってしまったのです。
しかし、専業主婦になることは認めてくれなかった彼。「共同の通帳に毎月お互い20万ずつ入れよう」と提案されて、私は従っていましたが、彼は全然入れてくれず……。そこそこ高給取りなはずの彼を問い詰めたところ、奨学金や学生時代に作った借金に給料の大半が消えていることが発覚したのです。
極めつけは、彼のご両親。ご両親はバイトをしながら食いつないでいる状況で、息子に援助を頼んでいました。その息子が稼ぐ嫁と結婚すればもっとお金を援助してもらえると考えたようで、私に「息子と結婚してくれ」と懇願してきたのです。
家事も仕事も嫁に任せて、悠々自適の老後ライフを夢見ていた彼の両親。私は「もしも彼が結婚式に来ずに浮気相手を選んだら、素直に婚約破棄に応じてください」「結婚式のキャンセル料も婚約破棄の慰謝料も私の請求額通りに払ってください」という条件を彼の両親に突き付けていたのです。
彼の手のひら返し
10分後――。
今度は彼から電話がありました。
「悪い!俺が悪かった!」「両親も高齢で暮らしていくのは大変だし、今から結婚式を予定通り挙げて、俺と2人で支えていこう!」と彼。
「それに、招待客だって来てるだろ?このまま結婚式をキャンセルしたら、恥をかくのはお前だぞ!」と言われましたが、私は痛くも痒くもありません。
最近の彼の様子を見て、彼は私から親友に乗り換えるだろうと確信めいたものを持っていた私。今日が土砂降りの予報だったこともあり、私は事前に招待客のみなさんに事情をしっかり説明しておいたのです。もちろん、無駄になってしまっては申し訳ないので、お料理やお花、式場の準備もしていません。
「なんでそんな勝手なことを!」と怒る彼氏に、「プランナーさんに、堂々と結婚式がなくなるかもしれないって相談できた状況を作り出したのはあなた自身よ」「結婚式の打ち合わせには1回も参加せず、唯一来てくれたのはタキシードの試着だけ」「ここまで結婚式に興味がないのに、来るとは思えなかったんだもの」と言った私。
「共同の通帳からもお金を引き出して使い込んでるわよね?」「慰謝料と結婚式のキャンセル代に加えて、その貯金についても全額返してもらいますからね」「あとは弁護士を通して連絡するわ」
そう言って、電話を切った私。いつの間にか雨は上がり、青空が広がっていました。
その後――。
弁護士さんを通して、婚約破棄は無事成立。私は慰謝料と結婚式のキャンセル代、使い込んだ貯金を元彼から分割で返してもらうことに。もちろん、親友にも慰謝料をしっかり請求しました。
もしもあのまま元彼と結婚していたら、どうなっていたんだろう……と考えると、今でもゾッとします。一度きりの人生、これからも後悔のないように生きていこうと思います。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。