跡継ぎの姉ばかり大切にされてきた
会社員の私は、経営者の父と専業主婦の母、姉と4人で暮らしていました。姉は短大卒業後すぐに父の会社に入社し、いずれは婿を取って跡を継ぐことが決まっていました。有能な男性と結婚できるようにと、姉は高級ブランドで身を固め、自分磨きのためと美容院やエステに通い放題。両親はいつも姉を優先し、私は肩身の狭い思いをしてきました。
私は高校卒業後、すぐに就職。姉の結婚が決まれば家を追い出されることがわかっていたので、早く自立できるよう日々努力していました。ところがある日、予想もしていなかった事態になったのです。
父の会社が倒産寸前に!
いつも自信満々の父親が、その日はひどく憔悴しており「大金をかけて開発した新商品に欠陥があった……。山のような在庫はもう売ることができない。開発費の支払いもこれからだというのに。このままじゃ倒産だ!」とのこと。
「倒産」という言葉を聞いて、姉は「これから社長になるはずだったのに、倒産だなんて!」と大焦り。その後、会社を立て直す策がなかなか見つからず、父親は酒に頼るように。これまで贅沢ざんまいだった姉と母は毎日わめくばかりでしたが、もともと質素な生活をしていた私は、自分の力だけで生きていく覚悟を決めました。
しかし数日後、父親が私と姉にあることを言い出します。
「2人のうちどちらかが取引先の社長の息子と結婚すれば、会社の立て直しに力を貸してくれるかもしれない!」
姉はお見合いを拒否
父親の話を聞き、「借金を助けてくれる会社なら、きっと儲かっているはず。そんな会社の息子と結婚すれば将来安泰ね!」とノリノリの姉。
ところが、父が取引先の社長から送ってもらったというお相手の写真を見た途端、姉は「こんなの無理!」と拒否します。そこには、チェックシャツにメガネをかけ、お世辞にも洗練されているとは言えない男性の姿が……。
姉は、「いくら社長の息子でも、こんなダサい男と結婚は無理! アンタが結婚しなさい」と私に押し付けたのです。
そして、とにかく会社を立て直したい両親は姉の意見に同意。しかし私は、決して彼の見た目が気に入らないわけではなく、「好きでもない人と結婚はできない」と拒みました。
けれど父親から、「今まで役立たずだったお前が行け」と大声を出され、なかば無理やり相手の家へ行くことに。自分の力で自由に生きる、という夢は儚く崩れ去ってしまいました。
相手の家から出てきたのは…
それから数日後、取引先の社長の息子・A男に会いに行きました。A男の自宅の前まで来ると、父親は「どんな手を使ってもいいから息子をトリコにしろ。婚約するまで帰ってくるな!」と言って帰ってしまい……。
絶望した私が玄関先で立ち尽くしていると、家の中からイケメン男性が出てきました。彼は私の気持ちを尊重し、「無理にお見合いをする必要はありません。帰られますか?」と、とても謙虚に対応。私は「いえ、お見合いをさせてください」と言い、家の中に入ったのでした。
結婚式に現れた新郎を見て驚愕!?
それから数カ月後、A男と私の結婚話は順調に進み、両親や姉は「あんたがあの男と結婚してくれるおかげで、私たちこれからも安泰ね」と笑顔。借金返済のためわが家はとにかく入籍を急いでおり、両家顔合わせもせず結婚式当日を迎えました。
そして、式場に現れた新郎を見て、両親と姉はびっくり。なぜなら私の横に立つ男性は、とんでもないイケメンだったのです!「なんで!? 写真とは別人みたいじゃない」と唖然とする姉に、私は「実はあれ、会社で仮装したときの写真なの」と笑顔で答えました。
姉が顔を真っ赤にしながら「私が彼と結婚する! あんた、今すぐそこをどきなさい!」と騒いでいると、A男が静かに口を開きます。「お断りです。僕はあの日、妹さんを見た瞬間に心を奪われました。芯の強い彼女は心も美しい。こんなすてきな女性が目の前に突然現れて、僕はとても幸せだ」と私の手を取り、ほほ笑みました。
さらにA男は父に、「事情はすべて娘さんから聞きました。僕たちが結婚したからといって、あなたの会社を救うことはありません。結婚と仕事は別の話ですし、大切な娘に対してこんなひどい扱いをする人間など信用できない」と宣言したのでした。
両親と姉の末路は…
その後、父の会社はあえなく倒産。借金返済のため自宅も売りに出すことになり、両親と姉は狭いアパートで暮らしながら借金を返済する日々だそう。「贅沢三昧」とは程遠い生活を送っているようです。
一方、私はA男の両親からも愛され、幸せに暮らしています。政略結婚のような出会いでしたが、おかげで最高の日々が訪れました!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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