私が困っているのは、同じバス停から園バスを利用している厄介なママ友。
子ども同士が同じクラスで仲良しということもあって、できれば程よい距離感でお付き合いをしたいと思っているのですが、そうもいかず……。
手作りクッキーを売りつけるママ友
「はい、これ! 今日はクッキーを焼いたの!」
朝、いつものように幼稚園のバスを待っていると、私は小さな袋を渡されました。料理好きなママ友は、こうして手作りのお菓子を渡してくれるのです。単純におすそ分けしてくれるだけならいいのですが、問題はこのあと……。
「500円でいいよ!」
なんと、強制的に買わされるのです。手持ちがないというと、お迎えのときに払ってくれればいいと言われ、値切るわけにもいかず、毎回言い値で買わされています。塵も積もれば……という言葉もあるように、毎日のようにこれをやられると、正直厳しい。しかし、娘に影響があるかもしれないと思うと強く言うわけにもいかず、困り果てていました。
そんなある日、彼女から週末に手料理を振る舞うパーティーをするから、親子で来るようにと言われました。「破格の料金で提供するわよ~!」と笑う彼女を見て、嫌な予感しかしません。
用事があると断ろうかと思ったのですが、どうやら他にも数組の親子が参加するらしく、何でもズバッと言ってくれる強いママさんも来ると聞き、それなら大丈夫かも……と参加することにしました。
パーティーの料理に毒が…!?
そしてパーティー当日。私は娘を連れてママ友の家にお邪魔しました。すると彼女から「会費は1万円ね」言われ、高すぎてビックリしました。しかし、テーブルに並ぶ大量の豪華な料理を見ると、案外お得かも……?
お刺身から揚げ物、煮物、焼き物まで、さまざまなお魚料理が用意されていました。早速、お刺身に手を伸ばすと……。
「食べちゃダメ!」
私の手を払いのけて声をあげたのは、何でもズバッと意見する強いママさん。「これは危険よ! 食べたらダメ!」と言います。すると、料理自慢のママ友は「はぁ? 何言ってるの? 夫が釣ってきた新鮮なお魚よ?」と反論します。そこで私がこれは何のお刺身なのかと聞くと、ママ友は「高級魚よ? フグよ?」と。
その場にいたママたち数人が「フグ!?」と驚きの声をあげます。料理自慢のママ友は「私が捌いたのよ! お店のお刺身みたいですごいしょ?」。ドヤ顔で言っています。
危ない……。私は命を落とすところだったかもと背筋が凍りました。
パーティーは中止、迷惑ママ友を成敗
私も含め、他のママたちも絶句。
さすがに異様な空気に気づいたのか「何? どういうこと!?」と動揺するママ友。食べちゃダメと私を止めたママさんが、フグは毒があるから免許を持っていないと捌けないと説明すると、「え?」と驚いた表情を浮かべた彼女。
すると今度は、そんなに心配なら刺身じゃなくて揚げたものを食べればいいと言い出しましたが……。フグの毒は熱に強くて水に溶けないので、加熱しても危険性は変わらないのです。そんなことも知らずに料理をしていたのかと、その場にいた全員が驚愕。
そして、フグについて説明してくれたママさんが、お金を受け取ってパーティーを開催していること、営業許可もないのに手作りお菓子を売りつけていること、これらのすべてが法律に違反している、迷惑だからやめてほしいと言いました。
そんなすごい空気のまま、何も食べずに食事会はお開き。数時間後、長々と謝罪のメッセージが届き、その後手作りのお菓子を売りつけられたり、パーティーに招かれることはなくなりました。
お刺身の魚がフグだと気づき、迷惑だとはっきり言ってくれたママさんは、いろいろなママからママ友の迷惑行為を相談されていて、ガツンと言う機会を探していたそうです。私も、嫌なものは嫌だとちゃんと言えるようになりたいです。
◇ ◇ ◇
ママ友とは、年齢も経歴もまったく異なる人たちが繋がる不思議な関係。子どもへ影響するかもと考えると、ストレスを抱えていても我慢してしまったり、言い返せなくなってしまったりしてしまうのですよね。適度な距離でうまく付き合えるのが一番ですが、そうもいかないこともあるはず。そんなときは、言葉選びに気をつけながら自分の気持ちをしっかり伝えることが、うまく距離を取るコツなのかもしれませんね。
※フグによる食中毒は、フグの体内に含まれるテトロドトキシンが主な原因であり、日本においては毎年、フグによる食中毒が発生し、死亡例も報告されています。このため、厚生労働省では、食べることができるフグの種類、その部位、漁獲海域を定めています。無毒のフグも存在し、家庭でのフグの調理や消費が禁止されているわけではありませんが、自分で釣ったフグを自分で調理したことによる食中毒や、知人から譲り受けたフグを食べたことによる食中毒事例が毎年発生しています。自分で釣ったフグ、又は知人から譲り受けたフグの素人調理は絶対にやめましょう。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。