なぜ電話に出ないのかと書かれていたり、また居留守をしているのかと書かれていたり……。そんな内容のメモや手紙ばかりです。
私にはまったく心当たりがないので、ただただ恐怖を感じます。実際に危害を加えられてはいないので、このくらいのことで警察に相談していいものか迷ってしまします。しかし、ここままにするのも恐ろしくて、どうしようかと悩んでいましました……。
玄関前に立つ見知らぬ人物とは…
ある日、これから私の家に来ると姉から連絡がありました。
そして、姉から連絡があってからすぐにチャイムが。姉の到着には少し早すぎるので、不安になりながら私は恐る恐る玄関のドアスコープをのぞいてみると、そこには見知らぬ男女が立っていました。
「えっ!? 誰? 間違い?」
私は応対せずに様子をうかがっていると、突然その2人が玄関をたたき始めたのです。いるのはわかっている、早く開けろと怒鳴りながら、激しくたたかれるドア。私は、恐怖で立ちすくんでしまいました。
ドア越しに誰なのかと尋ねると、知らない名前を告げた2人。子どもの声もしました。私が訪ねる家を間違えていないかと聞くと、ふざけるなと逆上。余計に強く、ドアをたたくようになってしまいました。このまま外で騒がれては近所迷惑に……。
顔を見れば間違いに気づいてくれるかもしれないと思い、しぶしぶ玄関のドアを開けた私。すると、玄関の中に入ってきて、彼らが探している人を私がかくまっていると言って、部屋の中へ上がり込もうしてきました。
私はなんとか彼らを阻止して、玄関で話を聞くと、彼らは前の住人の知り合いとのこと。頻繁に遊びに来ていたようですが、彼らに何も告げず引っ越してしまった前の住人。今日遊びに来ることは事前にメッセージで知らせていたようですが、既読にならず、私のことろへ押しかけたとのことでした。
黙って引っ越して、メッセージもスルーするということは、あまり良好な関係ではなかったような気がしますが……。とにかく、私にはまったく関係のない話です。
あいさつをしてドアを閉めようとすると、彼らが突然「じゃあアンタでいい! 泊めて」と言ってきました。私は何を言われているのか理解が追いつかず呆然……。
暴れて物を壊す見知らぬ家族
子どもはおなかが空いたと騒ぎ出し、親であろう2人も「疲れたからメシと酒よろしく」などと、信じられない発言。なぜ前の住人の知り合いを、私がもてなさなければならないのか意味不明でした。
とにかく、まったくしらない彼らを家に入れるわけにはいきません。私は、無理やり家に上がろうする彼らを止めようと踏ん張りました。不法侵入だと言っても、ひるむことなどなく逆上され、置いてあった植木鉢を蹴飛ばされ、破壊されました。傘も、わざと折られ……。
物を壊して暴れる父親の姿に興奮した子どもは、自分もヒーローになると言って、植木鉢からこぼれた土を私に投げつける始末。こんな非常識家族、いまだかつて遭遇したことがありませんでした。
抵抗するのをあきらめかけたそのとき、私にもヒーローが登場!
姉が部下を2人引き連れ、駆けつけてくれました。そして、彼らに手帳を見せながら、部下たちが暴れる父親を取り押さえました。姉は警察官なのです。
今、警察では前の住人の女性が相談している最中とのこと。そのため、私に話を聞こうと姉は私の家に来たのです。
突然の警察に、慌てる親の2人。彼らは前の住人に対して、ずいぶんとひどいことをしていました。被害届によると、気の弱い被害者女性に対してたかり行為を繰り返していたそう。
夜中に押しかけて冷蔵庫の物を持ち帰ったり、外食の会計を押し付けたり、ストレス発散のため彼女に水をかけたり。勝手に合鍵を作って当たり前のように出入りして、お財布からお金を抜き取り、金目の物を勝手に売り飛ばし、数えられないほどの悪行をはたらいていました。
想定外のトラブルに巻き込まれ……
私も当然のことながら、被害届を提出。
結果、前の住人の件と合わせて、彼らはいくつもの罪に問われることになりました。しばらくは子どもと生活することはできないようです。施設に預けられるそうですが、あの子にとっては、真っ当な大人に成長するための機会だと思います。
私は壊されたものの弁償をしてもらい、新しい部屋へ引っ越しました。今度は、セキュリティにこだわって部屋選びをしました。今度こそ、ひとり暮らしを楽しみたいです。
◇ ◇ ◇
引っ越した先での近所でのトラブルについてを、事前に避けることは難しいですが、ご近所さんだけでなく、前の住人が抱えていたトラブルにも気をつける必要があるのですね……。危害を加えられてわけではないからと、警察への相談を迷っていましたが、何か起こってしまってからでは遅いので、迷ったときは警察を頼って良いのではないでしょうか。警察に連絡せずとも、信頼のできる家族や友人に相談するなど、ひとりで対処しようとしないことが大切ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。