ママ友に借りたお金を返さないのです。みんなで一緒に食事したときのお金や、幼稚園の先生へのプレゼント代など、数百円ですがいつもはぐらかして逃げてしまいます。
お取り寄せスイーツの話をしていたら
ある日の幼稚園のお迎えの時間、ママ友たちとおしゃべりをしていました。
「この間、雑誌で見たスイーツがすごく美味しそうだったので、取り寄せることにしたんです!」「えっ、いいですね!私も頼みたいです!」
そんな話が弾み、私も注文をお願いすることにしました。もちろん、代金はそれぞれが支払う形です。
すると、すぐそばで話を聞いていたA子が、急に話に割り込んできました。
「お取り寄せスイーツ? 私も買う!」
ママ友たちと私は、一瞬顔を見合わせました。
「絶対にお金を払ってくださいね」と念を押すと、A子はニコニコしながら「当たり前じゃない~!スイーツが届いたら払うわよ!」と言いました。
私たちは、ちょっとした不安を感じました。
まさかのドタキャン
数日後、注文したスイーツが到着しました。みんなに連絡してスイーツを渡すと同時に代金を支払ってもらうことにしました。もちろんA子にも連絡しました。
「昨日スイーツを買っちゃったの♪ だから、やっぱりいらな~い」
「え?」思わず言葉を失いました。
「無理です! もう注文して届いているんですよ!」
私は何度も訴えましたが、A子は「だって、いらないものにお金を払うのはもったいないじゃない?」と、まるで話になりませんでした。
隣にいたお父さんの正体
翌日、お迎えの時間にスイーツを持ってA子を探しました。
「A子さん、立て替えておいたスイーツ代、払ってもらえますか?」
「え~! こんなに小さいのにこんなに高いの!? 私いらない!」
A子は商品を見て、まるで私が悪いかのように文句を言い出しました。
私が必死に言い返していると、近くにいた男性が声をかけてきました。
「すみません、そのスイーツを作っているのは私です」
予想外の展開とA子の反省
振り向くと、そこには最近引っ越してきた子のお父さんが立っていました。
「僕、このお店でパティシエをしています」
A子の顔がみるみる青ざめていきました。
「えっ……あの、すみません!」
「食べてもいないのに文句を言うのは、あまり気持ちのいいものではありませんね」
パティシエの男性の静かな怒りを感じ取ったのか、A子は慌てて財布を取り出し、ようやくお金を払いました。
それから数日後、A子が私のもとにやってきました。
「この前は本当にごめんなさい。私、お金のことを適当に考えすぎてたみたい……」
私は驚きながらも、A子の真剣な表情を見て少しホッとしました。
「気づいてくれてよかった。これからはちゃんとルールを守って、一緒に楽しみたいね」
「うん、これからは気をつける!」
こうして、A子は少しずつ変わっていきました。最初は厄介なママ友だと思っていましたが、これからはスイーツを楽しめる仲になりそうです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。