つわりのつらさは本人にしかわからない
私の場合、気持ち悪くなると吐いてしまう「吐きつわり」が主でした。日中は仕事をしていたので、気が緩まない限り吐くことはなかったのですが、仕事が終わって車に乗った途端に吐くことはありました。さらに、つわりのピーク時には、仕事中でもトイレに駆け込んで吐くことが増えたため、あまりにもひどい日は休むことに。
幸い、職場の方たちは快く休ませてくれてありがたかったのですが、申し訳ない気持ちもあり、早くつわりが過ぎ去ることを祈っていました。
そんなとき、週に2回ほど連絡を取り合う実母や義母に、私がつわりのせいで仕事を休んだり、家事がおろそかになったりしていることを正直に話すと……。
連絡をしなければよかったのかも…
実母も義母も、タイミングは違えど心配してアポなしでお見舞いに来てくれました。普段、たとえ身内でもいきなり来られるのは、正直あまり良い気はしない私。しかし、つわりで動くのもやっとの状態だったこのときばかりは別でした。実母も義母も、私の食べられそうな食べ物や飲み物、夫の分の食事も買ってきてくれて本当にありがたかったです。
しかし、実母の場合、気はラクなのですが「本当につわりがつらいの? 私のときは軽かった」と言われるのがしんどく感じました。さらに義母は、「つわりでつらくても病気じゃないからね。私は常に化粧もしてたし、家事がおろそかになることもなかったよ」と、すっぴんの私の顔と掃除機をかけていない部屋を見て言ってきたのです。
二人は心配してお見舞いに来てくれたのではなく「もっとしっかりしなさい」と言いたくて来たのか、と思ってしまうほどの言葉に何も言い返せず……。私は苦笑いをして聞き流すのがやっとでした。
実母も義母も悪気はなく、本当に心配して駆けつけてくれたことはわかっていますが、こちらから連絡をしなければよかったのかも……とモヤモヤするばかり。つわりのつらさは人それぞれなので、理解してくれようとしない二人の言葉に悲しい気持ちになった出来事でした。
私はこの経験から、つわりでつらいと言っている人が現れたら、「つらいよね、ゆっくりしてね」と相手を思いやる言葉をかけられる人間になろうと思えるようになりました。
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つわりには「吐きつわり」や「食べつわり」などさまざまなタイプがあり、症状の出方や期間、つらさの程度には大きな個人差があります。つわりを引き起こす要因として、「ホルモンバランスの急激な変化」や「心因的ストレス」が関わっているとされていますが、医学的にも原因ははっきりとは解明されておらず、周囲の人が「これくらいなら大丈夫だよね」と判断できるようなものではありません。
身近な人の何気ないひと言が、妊婦さんを追い詰めてしまうこともあります。つらさを口にした妊婦さんの気持ちをそのまま受け止め、無理のない範囲で寄り添い、サポートすることが大切です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:花坂 芽以/30代女性。2016年生まれの女の子と2020年生まれの男の子の2児の母。趣味はネイルで、最新家電や最新のファッションにも関心あり。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年1月)