それは、子宝に恵まれないこと。義母に相談すると「そんなに焦るもんじゃないわ、ゆっくりのんびり構えなさい」と慰められます。夫も「いずれは欲しいと思ってるけど、今はふたりの時間を楽しめばいいだろ」と言います。それでも、私は子どもを強く望み、仕事をセーブして体調を整え、妊活に専念しました。
妊娠報告!喜んでくれると思ったのに
数カ月後、念願の妊娠が判明し、私は大喜びで夫と義両親に「今日は大事な発表があります! 私、妊娠しました!」と報告しました。しかし、彼らの反応は思っていた物とは違い驚愕と困惑の混ざったもので、その予想外の冷たさに深く傷つきました。その後、なぜか夫と義両親は私を無視するようになり、何が起こったのか理解できませんでした。
耐えきれなくなった私は、つわりが重いから実家に帰ってそのまま里帰り出産をするという名目で、かなり早めに実家へ戻ることにしました。実家へ帰る前に、リビングでの彼らの会話が耳に入りました。
「あの子がしっかり稼いでくれるから、これから安心して過ごせると思っていたのに、こんなに早く妊娠するとはね……」「これからどうなるんだろう、収入が減るのは厳しいな」といった内容でした。私にやさしかったのはお金が目当てだったことを知り、すごくショックでした。
「帰って来て!」懇願されたけれど
そして里帰り先で無事に子どもを出産。夫と義両親から何度も連絡があり、「いつこちらに戻るの? 早く帰って来てほしい」と懇願されました。
「私、みなさんが話してるところを聞いちゃったんですよね。早く帰ってきてほしいのは、私や孫に会いたいからじゃなくて、早く仕事復帰させて稼がせたいからですよね? 無視されるのもつらかったです。二度と帰るつもりはありません」
そう伝えると、彼らはすぐに謝罪し、「正直、あなたの稼ぎに頼っていたんだ。だからこれからの生活に対する不安が大きくて、間違ったことをしてしまった。本当は子どもの誕生を心から喜んでいるんだ。もう一度チャンスをくれないか」と語りました。
夫や義両親の真摯な謝罪を受け、私はいったん家へ帰る決心をしました。
新たなる始まりと家族の絆
帰宅後、家族全員で話し合いを持ち、お互いの不安や期待を共有しました。夫と義両親は、私の収入に頼り過ぎていたことを認め、今後は自分たちも家族を支えるためにもできることを増やしてくれることを約束しました。
その後、夫は育児休暇を取り、積極的に育児をしてくれました。義両親は積極的に家事、育児の手助けをしてくれながらも、週に数回パートへ出かけるようになりました。
妊娠中の夫と義両親の態度はいまだに許せません。ただ、仕事に集中できるこの環境は大変ありがたく、夫も義両親も子どもをかわいがってくれているので、このまま同居を続けることにしました。子どもをきっかけに、家族としての新たな希望に満ちたスタートが始まりました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。