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「顔面神経麻痺」は早期治療が重要。チェックリスト付き!疑いがあったらすぐに病院へ【医師解説】

表情筋を動かす顔面神経に障害が起こり、顔が動かせなくなる病気「顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)」。芸能人がかかったというニュースを耳にすることもありますが、実際に自分がなってしまったら元に戻るのか心配になってしまいます。「顔面神経麻痺の治療は早ければ早いほど良い」と話すのは耳鼻咽喉科医の高島雅之先生。症状や原因、治療法について聞きました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師高島雅之先生

日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2006年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。『宇都宮睡眠呼吸センター』を併設し睡眠医療にも携わる。
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顔面神経麻痺とは

顔面神経 イメージ

 

顔面神経は脳神経の1つ。耳の後ろから5つに枝分かれし、顔面に伸びていて、表情筋を動かす他、涙や鼻水、唾液の分泌、舌の前方の味覚を司るなどの役割があります。顔面神経に何らかの問題が起こり障害が起こると、表情筋を動かそうとしても脳からの指令が届かなくなり、顔がまひする「顔面神経麻痺」になります。

 

前兆として耳に痛みや違和感を覚えることもありますが、ほとんどの場合、顔面神経麻痺はあるとき突然起こります。以下のような症状は、顔面神経麻痺の可能性があります。速やかに耳鼻咽喉科や神経内科を訪れましょう。

 

【顔面神経麻痺の疑いチェックリスト】

・水を飲むと片方の口からこぼれる

・額を寄せられず、額にシワが作れない

・目を閉じられない

・まひしているほうの顔の筋肉が下がっている

・口が動かず、口笛を吹けない

・口をイーっと横に広げられない

・鼻の穴をピクピク動かすことができない

 

顔面神経麻痺には度合いがありますが、「水を飲むと片方の口からこぼれる」は、軽度でも見られる症状です。顔面神経麻痺では、主に表情筋が動かしにくくなるため、舌の動き(ろれつ)自体は通常保たれます。ただし、唇をうまく閉じにくいため、「パ」行など唇を合わせる音の発音には影響が出ることがあります。一方、脳梗塞など脳の中枢が障害されると舌や構音器官に直接麻痺が起こり、“ろれつが回らない”といった症状が出やすくなります。

 

顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺の原因は主にウイルスで、ウイルスによる症状は「ベル麻痺」と「ラムゼイ・ハント症候群」の2種類があります。

 

ベル麻痺

体内に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが再活性化することで起こり、顔面神経麻痺の約6割を占めます。水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の場合とは異なり、発疹や耳の症状はありません。そのため原因不明の場合もベル麻痺と診断されることがあります。

 

ラムゼイ・ハント症候群

体内に潜在していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こります。耳の中に発疹ができたり、炎症、痛みといった耳症状を伴うのが特徴です。顔面神経麻痺の約2割を占めます。

 

なぜ2つのウイルスが顔面神経麻痺を起こすの?

潜伏ウイルス イメージ

 

単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスは、いずれも一度感染すると消滅することはなく、知覚神経節に潜伏します。通常であれば問題は起こりませんが、ストレス、疲労の蓄積、加齢などにより免疫力が低下すると再びウイルスは活性化します。このとき顔面神経に影響をおよぼすと「顔面神経麻痺」が起こるのです。

 

ウイルスが原因ではありますが、発疹を触るなどよほど特別なことをしない限り、他人にうつることはまずありません。

 

 

発症から3日以内の早期治療がカギ

受診 イメージ

 

顔面神経麻痺は発症から1~2週間でどんどん悪くなります。悪化する前にステロイド治療をおこなうことが重要で、3日以内に薬を投与すれば約7~9割が治癒すると報告されています。私自身も顔面神経麻痺になったことがありますが、すぐに治療をおこなったため、後遺症は出ませんでした。

 

発症から1カ月後くらいに検査をおこない、予後が悪ければ手術が勧められます。なお後遺症が残った場合でも、リハビリや自然治癒によってまひは改善されていきます。ただしリハビリは正しくおこなわないとかえって後遺症が重くなってしまうことがあるので、自己判断で進めるのは避けましょう。

 

免疫アップで顔面神経麻痺を予防。腸活にも

ベル麻痺の患者は働き盛りの40代がピークと言われていて、ラムゼイ・ハント症候群は20代と50代でかかる割合が増えます。この年代は特にストレス、疲労がたまりやすいのかもしれません。なお、罹患率に男女差はありません。

 

顔面神経麻痺の予防は免疫を落とさないこと。そのためにはしっかり休息を取り、規則正しい生活を心がけストレスをじょうずに発散することが求められます。また、原因となる帯状疱疹を防ぐためにも、50歳を過ぎたら帯状疱疹ワクチン接種を検討しても良いでしょう。

 

近年では腸内フローラのバランスが取れているとメンタルにも良い影響をもたらすことがわかってきました。腸内環境は免疫システムにも関わっていますから、顔面神経麻痺を防ぐ意味でも日ごろから腸活を心がけたいものです。

 

まとめ

とりわけ早期治療がモノ言う「顔面神経麻痺」。顔面に異変を感じたらチェックリストで症状を確認し、少しでも疑いがある場合はすぐに受診をしましょう。もし勘違いだったとしても、何もなくてよかった、で済みます。健康を守ることを優先してくださいね。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

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取材・文/中澤夕美恵(51歳)

出版社、編集プロダクションを経てフリーになって約20年。2021年よりスポーツジム通いに目覚め、せっせと運動に励むものの未だ1kgしか減量しておらず、ズッコケる。いつか痩せると信じて今日もジムへ……。

 

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