夫は、ボロ家には見向きもせず、管理はすべて私任せ。少しは感謝してくれてもいいと思うのですが、修繕することがバカらしいとすら思っている様子です。
最近の夫は仕事を言い訳に家にいないことが多く、家にいるときも頻繁に電話がかかってきています。私の目の前で電話を取らないようにしているのを見ると、どうも私に知られてはいけない相手から連絡がきているのではないかと思ってしまいます。
不倫相手がいるのではないか、借金をしているのではないかと、妙な勘繰りばかりしてしまいます。
不倫中の夫と鉢合わせた私
そんな疑わしい態度に、私はしばらく悩んでいたのですが、夫の行動はだんだんとエスカレートしていきました。私が何も言わないので気が抜けてしまったのか、明らかに着飾って出かけたり、ブランド品や高級レストランで食事をした際のレシートを部屋に落としたり、大胆な行動をするようになり……。
そして、ある日、私は決定的な証拠をつかむことになったのです。
その日、私はボロ家の修繕作業で疲れた体を癒そうと、甘いものを食べに出かけました。最近できたばかりの高級タワマンの前を通りかかったとき、中から仲むつまじい様子の男女が出てきました。どうやら、男性が女性にマンションを買ってあげたようです。
何だか見たような顔、聞いたような声……。中から女性の肩を抱いて出てきたのは、なんと夫だったのです。私と鉢合わせてしまい、最初こそおどおどした様子を見せた夫でしたが、覚悟を決めたのか堂々と不倫を告白してきました。
相手の若くてきれいな女性も、不倫だとわかって交際していたようです。その場で離婚を切り出した夫は、「ボロ家だけくれてやるから慰謝料はなしな」と言ってきました。不貞行為をしておいて、一方的に慰謝料などの条件を決めてくる夫。私のほうこそもう夫と一緒にはいたくありませんが、だからといって夫の言う通りには……。無性に腹が立ちました。
しかし、私には考えがあったので、家の権利を私に移したら離婚届を出してあげることにしたのです。
ボロ家が高級タワマンに!?
離婚が成立し、半年ほどが経ったころ、急に元夫から鬼のように着信が入りました。もう関係ないので無視しましたが、もしかしたら、私がボロ家をもらって離婚した理由に気付いたのかもしれません。私は離婚のしばらく後に、ボロ家を手放し、豪邸に引っ越しました。
元夫は気付いていなかったようですが、ボロ家のあった地域は再開発が予定されていたエリア。そのため、高価格で買い取ってもらうことができました。すずめの涙ほどの慰謝料をもらうより、私にとってはずっといい話。その事実に気付いて、悔しがって連絡してきたのでしょう。
ある日、ボロ家があった場所の前を通ると、元夫がどこからともなく出てきました。どうやら私がやってくるのを、ずっと待っていたようです……。更地になった土地には、タワマンの建設を予定する大きな看板が立っていました。
夫が相続したときは借り手も買い手も見つからなかったボロ家でしたが、時代が変われば需要も変わるのです。夫が不倫相手に買ってあげたタワマンも、このエリアの発展を見越して建てられたもの。それなのに、なぜ自分の土地の価値に気付かなかったのか不思議でたまりません。
「元々は俺の土地だ」と主張し、わけ前を求めてきた元夫。あきれたものです。
私とボロ家を手放した元夫の今とは
元夫は、不倫相手の女性と再婚したそうですが、彼女は散財ばかりしていて、自慢のタワマンに知人を招いては大騒ぎをして、他の住人に迷惑をかけているようです。そのため、せっかく買ったタワマンで、夫は他の住人から白い目で見られ、肩身が狭い思いをしているのだとか……。
今の奥さんに対しての文句をなぜか私に愚痴る元夫。そして驚くことに、また不倫をしているらしいのです。もう、あきれて何も言えませんでした。
結局、2度目の離婚をした元夫は、ローンの支払いが滞り、タワマンを手放すことになったそう。今は、風呂なしのアパートに住んでいると風の噂で聞きました。私は、夫と離婚したおかげでお金に余裕ができましたが、豪遊したりせず、つつましく生活していきたいと思っています。
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2度も不倫して、その度に離婚。残念ながらこの先も同じことを繰り返しそうな気がしますね。人が変わるには、よほど大きなきっかけがなければ難しいと思いますが、この元夫にとっては2度の離婚もきっかけにはなり得なさそうです……。不倫の事実を知ったときはつらかったと思いますが、そんな責任感のない人とは離れられてよかったです。元夫のことは忘れて、妻には幸せに暮らしていってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。