結婚することになるはずなのですが、何だか最近、彼の様子が変なのです。完済のお祝いをしようとレストランで待ち合わせしていた日、なんと彼は私との約束を忘れてしまっていて……。
やっと節約生活から解放された彼は、自由を手に入れた清々しい気持ちのようで、友人たちと飲みに行くなどして、私とは別のことで羽を伸ばしたいようです。
ずっと我慢していた友人との付き合いが楽しい彼の気持ちもわかるのですが、生活費を入れずに遊んでいるので、困っています。2人で生活しているので、自分だけ欲しいものを買ったり遊んだりするのは……。
今まで私が支えてきた部分が大きいのに、彼の度がすぎる遊び方に納得がいきません。そんなことをいろいろと言ったら、イライラされてしまいました。
突然の婚約破棄!?原因はまさかの…
私たちが、少しギクシャクし始めて1カ月。
大事な話をしようと思った私は、彼に帰宅時間を尋ねました。
「婚約破棄させてくれ」
「俺は社長令嬢と結婚するから」
「これで俺は次期社長!」
すると、彼からも話があると言われ、突然、別れ話をされました。
「そう、おめでとう!」
突然のことに私は、正直驚きましたが、素直に気持ちを伝えました。このまま一緒にいていいのか、迷っていたので、彼に好きな人ができたのが、入籍前で幸いでした。婚約破棄の慰謝料だけもらえれば、傷浅く別れられる。そう思いました。
すぐに出ていくと言っていた彼ですが、なかなか家に帰ってこないので、荷造りが進みません。私が彼に催促すると、やっぱり別れたくないと言い出しました……。
社長令嬢に言い寄られて舞い上がっていたけれど、やっぱり私のほうが大事だと気づいたと告白されたのです。しかし、私はそれが彼の本心ではないことを知っていました。
それは、彼に婚約破棄されたあの日に私がしようとしていた大事な話に関係します。
不愉快すぎる都合がいい彼の発言
実は以前、彼が社長令嬢と会っているところを、私の友人が偶然目撃し、心配して知らせてくれたのです。あの日、私が彼に確認しようとしていたのはその件でしたが、先に彼のほうから婚約破棄を切り出してきたため、話す機会を逃してしまいました。
私の友人が見たのは、ただの密会現場ではなく、彼が彼女ねだられて、高価なバッグや服を買ってあげているところだったのです。私は友人からこの話を聞いて、今まで彼のために節約していたことや、生活費を負担していたことがバカらしくなり、彼から婚約破棄を告げられたときには、すでに彼への愛情は冷めていました。
さらに彼は、社長令嬢の家の会社に入るために、私に黙って自分の勤め先を退職していたことも発覚。そんな人に、今さら「やっぱり君が大切だ」なんて言われても、心が動くはずがありません。
彼は何度も復縁を求めてきましたが、その理由も「目が覚めた」わけではなく、社長令嬢には本命がいて、ただの浮気相手だった彼はすぐに飽きられて、捨てられてしまったから。お金も仕事もなくし、社長令嬢に貢ぐため借金まで作った彼。奨学金返済に協力していた私をあっさり捨てて、次期社長になれると浮かれていたくせに、困ったら助けてって……。バカにされているようで、とても不愉快でした。
奨学金も完済したし、すぐにでも結婚できるのだから、復縁の話は私にとっても悪い話ではないと言う彼。私は耳を疑いました……。悪い話でしかありません。自分を裏切った人と、また借金を一緒に返す日々に戻るのなんて、想像しただけで目眩がします。
彼は、支えてきた人を簡単に裏切ることができて、困ったらまた甘えようとする、とんでもない人間だったとわかりました。これ以上、私は自分の価値を下げたくありませんし、傷つきたくもありません。もう二度と私の前に現れないでほしいとお願いしました。
結婚に条件を課してくれた両親に大感謝!
結局、私への慰謝料を支払えなかった彼は、両親から借金をしたようです。社長令嬢に貢いだ分の借金も含め、相当な額になったのだとか……。彼の両親は、私に何度も頭を下げてくれて、私の実家にも何度も何度も謝罪に来てくれました。
この一件で、彼は自分の両親から勘当され、実家にも帰れず、肩代わりしてもらったお金の返済だけでつながっている状態になったそうです。
「恋は盲目」といいますが、あのころの私には周りが見えていなかったのかもしれません。婚約状態で留まらせてくれていた両親には、今とても感謝しています。彼に一生苦しめられることになったかもしれないと思うとゾッとします。
これからは人を見る目を養い、両親が認めてくれるような素敵な相手と巡り会えるように努力したいと思います。
◇ ◇ ◇
信用できないと、なんとなくの違和感をそのままにせず、結婚に条件を課したご両親のファインプレーでした。結婚してしまう前に、問題が明るみになって本当に良かったです。子の人生は、親の人生ではありません。すべて言いなりになる必要はありませんが、人生の先輩としての勘や助言に、聞く耳を傾けることも大切なのかもしれませんね。この先、素敵な人と出会って幸せな人生を送れることを願います。
【取材時期:2025年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。