「いい!?今度は二度とうちの実家を頼らないで!」「もう我慢の限界なのよ!」と電話をしてきたのは、海外赴任中の義姉。今まではすごく仲良くしてくれていたのに……。
一方的に責めたててくる義姉
「毎日のようにお母さんを呼びつけてるそうじゃない!」「いくら子どもが生まれたばかりだからって……年金暮らしのお母さんをそこまでこき使うなんて、そんな非常識な人だと思わなかった!」
一方的に言われっぱなしの私。しかし、私にはまったく心当たりがありません。
「お母さんには私がいつも仕送りをしてるのに、それでもかなりカツカツな生活をしているみたいだから問い詰めたら、お母さんが泣きながら私に打ち明けてきたの!」「あなたが毎日のように買い物を頼んできて、そのお金も出させて、家事も手伝ってほしいって言ってくるって!」「実家近くに住んで、姑を都合よく使おうっていう魂胆だったのね!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」「私の話も聞いてください!」と言っても、ヒートアップした義姉は止まりません。
「言い訳なんか聞きたくない!海外赴任の仕事は任期の区切りがついたし、もうすぐ私がお母さんと住むから!」「お母さんは私が守る!」と言って、義姉は一方的に電話を切ってしまいました。
問題児の義兄と何かを隠そうとする義母
海外赴任中の義姉が義母と同居する、という部分が気になって、私は義姉から電話があったことを夫に話しました。
「兄貴のこともあって、かなり疑り深くなってるんだと思う……」「もともと誰よりも正義感が強い人だから、『これ以上あいつの好きにはさせない』って言って早めに日本に戻ってくることになったらしいよ」
問題の義兄は、現在義母と同居中。同居というよりも居候に近いですが……。
義兄はバツ2。離婚原因も義兄にあるそうです。お給料が入ると全部競馬で散財して、生活費も義母の年金頼み。家族が何度注意してもなにも変わらないのです。それを聞いた私は、できるだけ義兄には関わらないようにしていたのです。
夫に「姉さんも同居で忙しいだろうし、そっとしておこう」「落ち着いたら、きっとすぐに誤解も解けるよ」と言われて、気持ちが落ち着いた私。念のため、義母には共有しておこうと連絡したのですが……?
「お願いだからお姉ちゃんには何も余計なこと言わないで!」と義母。「私に任せてくれていいから!」と言われ、私は首をかしげます。
「あの……お義姉さんが何か誤解しているようなのですが……」「もしかして、お義母さん、お義姉さんに隠し事でもあるんですか?」と聞くと、「う、うるさい!嫁の分際で生意気言わないの!」「嫁は余計なことを考えずに、私の言うことに従ってなさい!」と義母。
私は悪事の片棒を担がされているような気がしたまま、電話を置きました。
義姉の勘違いと衝撃の事実
それから2週間ほど経ったある日――。
「ちょっと!二度と実家を頼るなって言ってるでしょ!」「なのに、毎日毎日お母さんに子どもを押し付けて、その間にランチだのネイルだのって遊び歩いてるそうね!」「よくもそんなことができるわね!子育て放棄も同然よ!」
また一方的に私のことを責めてきた義姉。しかし、私は子どもを義母に預けたことは一度だってないのです。
「黙りなさい!朝9時に預けて、夕方5時まで帰って来ない日もあるって!」「預かってる間のおむつやミルク、おやつ代まで買わせておいて、お礼のひとつもないんですって!?図々しいにもほどがあるわ!」「せっかくあの馬鹿兄貴とは縁を切らせたと思ってたのに……あなたまで厄介者だったなんて……!」
義姉は以前、「もう兄さんとは関わらないで」と義母にきつく言っていたらしく、義母と義兄はもう疎遠になっていると思っていたのでしょう。
ますますヒートアップする義姉を、「本当に私、そんなことしてないです!」「何かの勘違いです!」と必死で止める私。
「毎日毎日、うちのお母さんに生まれたばかりの息子を預けるなんて!」
「なんて非常識なの!いい加減にしなさい!」
「うちの子は女の子ですが…?」
「え?」
明らかに戸惑った様子の義姉に、「少し落ち着いて、私の話を聞いてください」「誤解があるようなので……」と切り出した私。
「で、でも、お母さんが毎日、男の子の世話をしてるって……。私、ずっとあなたの子だと思ってた……。あ、でも……たしかに出産のとき、写真と名前も送ってもらってたわよね……」
義姉は急いでスマホを取り出し、「あれ……本当だ、女の子って書いてある……私、ちゃんと見てなかったのね……」と呆然としていました。
もともと仕事の早い義姉。メッセージを遡って確認したのでしょう。「あれ、ほ、本当だ……」「でも、お母さんは毎日男の子を預かってて……」と言って、自分の勘違いに気づいたようです。
「……そんなことより、私ったら今までとんでもない誤解をしていたのね……。一方的に責めてしまってごめんなさい」
落ち着きを取り戻し、謝罪してくれた義姉。もちろん、私もその謝罪を素直に受け入れました。しかし、問題はまだまだ山積みです。
「でも、いったい誰の子どもなのでしょう……?」と言う私に、「お母さんも頑なにあなたの子どもだって私には説明してたし……」と義姉。それぞれ義母から聞いている話をすり合わせて、矛盾点を見つける作業に移りました。
義姉と暴いた真実と義母の末路
1時間後――。
義姉とのやり取りを終えた私は、そのまま義母に電話しました。
「お義母さん、いったい毎日、誰のお子さんを預かっているんですか?」「うちの子どもだって偽っているようですけど、うちは娘ですし、そもそも一度だって預かってもらったことはないですよね?」「責めているわけではありません。1人で抱え込むの、大変じゃないですか?私には話してくださいよ。家族じゃないですか」
そう言うと、義母は「……お姉ちゃんには黙っててほしいんだけどね」と話を始めました。
「実は……最近、急にお兄ちゃんの子どもを預かることになって……」
2度の離婚歴がある義兄ですが、どちらも子どもはいなかったはず。私が首をかしげると、「……今、お兄ちゃんが付き合ってる彼女さんがいて、その人が数カ月前に子どもを産んだんだけど……。でもね、彼女さんが既婚者だったらしくて……」義母はさらに続けました。
「旦那さんが海外出張中に付き合って、赤ちゃんも生まれたけど……急にその旦那さんが一時帰国することになって、慌ててお兄ちゃんが預かることに。でも、あの子も仕事があるし、私が代わりに見てるの」と義母はバツが悪そうに言いました。
「お兄ちゃんも仕事があるから、私が面倒見てるんだけど、正義感の強いお姉ちゃんには言えなくて……」「だから、あなたたちの子どもだってとっさに嘘をついてしまったの」
事情はわかったものの、理解はできていない私。私が考え込んでいると、義母はなんと、「こ、ここまで話したんだから、もちろん助けてくれるわよね!?」と言い出したのです。
「私も年だし、体力的に子どもの面倒を見るのもキツいのよ……」「だからお願い、しばらくあなたがこの子を預かってくれないかしら?」「子どもの世話なんて、1人も2人も変わらないでしょ?娘ちゃんと一緒にこの子も面倒見て!私は体力も限界だし、なんなら引き取ってちょうだい!」
そんな、見ず知らずの子どもを引き取るなんて私には考えられません。
「お相手の方の離婚まで時間かかるみたいだし、私の孫には変わりないし!」「大事な長男の子どもだから、丁寧に、大切に育てなさい!」
「いい加減にするのはお母さんでしょ!」と、突然声が飛んできました。なんと、義姉が義母宅に来ていたのです。義姉は「同居に向けて荷物を運びに来ていた」とのことで、偶然その場にいて、私と義母の会話を聞いていたのでした。
「な、なんでお姉ちゃんが!?」「え、えっと……。あの、話せばわかるわ!お母さんはお兄ちゃんがかわいそうで……。見捨てられなくて……」という義母に、「かわいそう?笑わせないでよ!」「不倫相手との子どもをかくまってるだけじゃない!」と正論で返す義姉。
「もう兄さんを甘やかすのは終わりにしようって約束したよね?」「兄さんはお母さんの貯金だって使い込んだ最低息子なのに……。裏でまだつながってるし、とんでもない片棒を担いでるなんて……!」
そんな義母を助けたくて、海外からもずっと仕送りをして義母を支えてきた義姉。義母の幸せを考えて、海外の仕事も早く終わらせて、同居までしてくれたというのに……。
「もういい!そんなに長男の兄さんが大事なら、好きにすれば?」「その代わり、私はもう何も助けないから!同居も解消するし、仕送りも全部終わりよ!」
その後――。
義姉の逆鱗に触れた義母は、すぐさま義兄に泣きついたようです。しかし、義兄は義兄で、不倫相手の旦那さんに全部バレてしまったようで、慰謝料を請求されているらしく……。「母親のくせに金も出せねぇのか」「使えねぇな」と義兄は義母を用済み扱い。今では連絡も取れないそうです。
次に義母は義姉に泣きついたそうですが、まったく相手にされていないようです。今までの行いを考えれば当然ですが……。
義姉はうちの近くに単身向けのマンションを借り、ちょくちょくわが家に来るようになりました。娘のこともとてもかわいがってくれています。真面目で誠実、そして正義感の強い義姉との仲が回復して、私もよかったと思っています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。