健康過信が招いた小さな異変の見逃し
私は30歳になるまで、病院に行くのは会社の健診や虫歯の治療くらいで、ずっと健康には自信を持っていました。20代半ばから胸の痛みや強い張りを感じることが時々あったのですが、生理前後の敏感なときだと思い込み、大して気に留めていなかったのです。職場の健診でも毎回異常がなく、安心しきっていました。
「乳がん」宣告と専門病院での揺れる思い
ある日、お風呂で体を洗っていたとき、胸の一部が硬いように感じました。そのときは見た目に変化がなかったものの、数カ月放置していたら乳頭の周りから液体が出ているのを発見。「これはさすがにおかしい」と思い、近所のクリニックを受診したのです。エコーやマンモグラフィー、さらに医師の勧めで当日中に針生検(組織の一部を採取し、調べる組織診の一種)もおこなった結果、2週間後にステージ2の乳がんであると告げられました。
その後、がん専門病院へ転院し、エコー・骨シンチ(放射性薬剤を使って骨の状態を調べる検査。がんの骨への転移などを診断するためにおこなう)・MRI・CTなど多岐にわたる検査を受けました。CT検査で造影剤を使った際には、全身が急に熱くなり「もしかして、おもらししてしまったのでは……」と焦ったのを今でも覚えています。検査ばかりが続く間は「その間にがんが進行してしまうのでは?」という不安でいっぱいでしたが、治療方針を決めるためには必要なプロセスだと自分に言い聞かせました。
術前抗がん剤から左胸の全摘へ
最終的に「手術前に抗がん剤を投与したほうがよい」という医師の判断により、まずは半年間の術前抗がん剤治療をおこないました。副作用で髪の毛が抜け落ちたときは大きなショックでしたが、あるときふと、髪のない自分の姿に不思議な愛しさも感じたのです。続いて、左胸の全摘手術を受け、放射線治療やホルモン治療、分子標的薬の投与なども段階的に実施。現在もホルモン治療は継続中です。
こうして左胸を失った今、もしもっと早く受診していたら部分切除で済んだのかもしれない、と考えることがあります。しかし、後悔ばかりしていても前には進めません。寛解(病気の症状が軽減または消失した状態)まではまだ時間がかかりそうですが、めげずに治療を続けながら、これからも日々を大切に過ごそうと思っています。
まとめ
乳がんと告げられたあの日から、術前抗がん剤や手術、放射線治療、ホルモン治療など長い道のりを歩んできました。平坦ではありませんが、前向きな気持ちを失わず乗り越えることで、今の私があります。少しでも多くの方に、この体験が届けばうれしいです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:土々呂まり/30代女性・会社員
イラスト/サトウユカ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年2月)
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